v10.0
- ID:
- 46901
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0721
- 見出し:
- 最も好調な『パワービルダー』
- 新聞・サイト名:
- データ・マックス
- 元URL:
- http://www.data-max.co.jp/2010/07/post_10936.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
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地価下落とエコポイント制度、相続税の非課税枠の大幅拡大の追い風を最も教授しているのは大都市圏で住宅の一次購入者を対象にした戸建分譲住宅を展開している『一(はじめ)建設(株)』、『(株)アーネストワン』、『(株)飯田産業』、『(株)東栄住宅』、『タクトホーム(株)』などのパワービルダーであろ
う。
詳細な決算に基づく数字は次回に説明するが、『一建設(株)』は昨年12月25日にジャスダック証券取引所に上場したが、2010年1月期決算では売上高は2,007億8,000万円(前期比13.3%増)、経常利益180億5,400万円(前期比214.9%増)、当期純利益102億200万円(前期比209.2%増)と大幅な伸びを
示した。この時期は前にも述べたように新設住宅着工戸数が対前年比で約29%も落込み業界全体がパニックに陥った時期である。
『(株)アーネストワン』は売上高こそ対前年比で13%減少したが、営業利益は前期の▲111億3,800万円から158億2,500万円へと大幅な黒字転換を果たし、経常利益も同じく▲116億9,800万円から158億2,200万円へ、当期純利益も前年の▲120億4,700万円から144億2,300万円へと大増益を実現した。
『(株)飯田産業』は2010年4月期で売上高は1,141億5,200万円(対前年比9.7%増)、営業利益108億7,200万円(対前年比305.7%増)、経常利益103億6,700万円(対前年比484.3%増)、当期純利益59億4,900万円(対前年比647.8%増)と途方もない伸びを実現した。
『(株)東栄住宅』は2010年1月期は売上高807億7,500万円、営業利益30億3,400万円、経常利益21億3,700万円、当期純利益33億7,400万円を計上したが、2011年1月期予想を売上高834億6,000万円から854億4,000万円に、営業利益は56億6,000万円から68億8,000万円に、経常利益は45億8,000万円
から58億8,000万円に、当期純利益は40億4,000万円から57億1,000万円へと更に大幅な増収増益へ変更した。
『タクトホーム(株)』は201年5月期決算で売上高こそ前年同期比で467億8,400万円と対前年同期比▲19.7%減だったが、営業利益は1億8,100万円から53億8,000万円へ、経常利益は▲3,700万円から53億3,800万円へ、当期純利益も▲2億1,500万円から31億3,500万円へと黒字転換どころか大幅増益へ
転換している。これらのパワービルダーは、より良い住宅をより安く、より早くという精神で住宅一次取得者向けに一戸建住宅を提供することで共通している。
地場でも『(株)タカノホーム』(福岡市南区屋形原)も例年完工売上高を20億円以内に抑え込んできていたが、前期はこれまでの禁を破りとうとう28億円の完工売上を挙げている。
『健康住宅』(福岡市城南区)も「自分の完工能力は外断熱高気密高断熱工法の品質を維持していくためには年間80棟が限度」と頑なに着工を抑え込もうとしているが受注残がどんどん積み上がっていく一方である。
『山根木材(株)福岡支店』は戸建分譲住宅の割合が80%であるが、販売が好調で着工が間に合わない状況だ。
『永代ハウス』は前述のパワービルダーの『安い戸建住宅』の提供とは一線を画し、自然素材を用いて、『エアパス工法』や『電磁波除去』、『水の健康』等と併用しながら受注を伸ばしている正統派である。
各社共に性能、品質面で努力しながら受注に邁進していることは共通している。それだけに今後は優良宅地の購入・開発を急ぎながらバイイングパワーを発揮してコストの抑え込みが大きな課題となってくる。
一方で、新設住宅着工戸数が対前年比で30%近くも落込んだことに惑わされ自助努力を怠ってきた多くの住宅ビルダーや資材流通業者も今一度自社の戦略を見直す必要があるだろう。
また、消費税の切り上げがタイムスケジュールに乗っかる日がくることは間違いない。1996年に消費税が3%から5%に僅か2%アップすることから住宅建設を駆け込み契約する施主が増え空前の住宅着工戸数が増加した。しかしその嵐が過ぎた後からは年々新設住宅着工戸数が減り始め、遂に昨年の78万戸まで落込んだのであるが、今回は最低でも5%アップの上げ幅、それでも日本の財政赤字を黒字化できないというのであるから予想される仮儒の数は膨大なものになると予想される。問題はその宴が終わった後に企業として生き残れる戦略を今から考え、対処していかなければならないことであろう。
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