v10.0
- ID:
- 46796
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0713
- 見出し:
- 国内最古級の洋館、解体7年たつも復元のめど立たず/横須賀
- 新聞・サイト名:
- カナロコ(
- 元URL:
- http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1007120020/
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 米海軍横須賀基地内にあった国内最古級の洋館「ティボディエ邸」が解体されて7年。貴重な部材は復元を目指して旧小学校校舎内に保管しているものの、財政難の影響で復元のめどは立っていない。部材の傷みも懸念されるとして、市民団体は早急な対策を求めている。
ティボディエ邸は横須賀製鉄所の副首長を務めたフランス人技師ティボディエの官舎。1869(明治2)年ごろの起工といわれ、木造平屋建て約230平方メートル。壁はれんが造りで、木材を三角形に組む工法を採用し、近代建築学史の上でも貴重な洋館と評価されている。
その後は増改築を繰り返し、戦後は同基地内の集会所として使っていたが、傷みが激しかった。このため米軍は建物の復元を前提に、諸費用約3500万円を負担して2003年に松の梁(はり)や、れんがなどの部材を解体して旧市立坂本小(横須賀市坂本町)に運んだ。
しかし、復元は実現していない。07年には原子力空母の横須賀基地配備に伴う再編交付金を活用する案が浮上したが、見送られた。復元には建物だけで2億円かかるとみられ、市の財政難がネックとなった。
「このままでは部材の劣化や腐食が進み、“宝の持ち腐れ”になってしまう」。危機感を抱いた市民団体「横須賀の文化遺産を考える会」(長浜つぐお代表)はことし2月、復元実現に向けた新たな対応策を早急に講じるよう求める陳情書を同市議会に提出した。審査の結果、市議会は趣旨を了承し、吉田雄
人市長らに必要な措置を取るよう通知した。
担当の市教委生涯学習課は「貴重な近代化遺産。部材は防虫処理などして保管しているが、このままでいいとは思っていない」と話す。ティボディエ邸復元への関心を高めるため、本年度中に解体調査報告書をまとめる予定だ。
復元場所について、長浜代表は「文化財としても基地内の元の場所が望ましい」と主張する。これに対し、生涯学習課は「施設の管理や公開の面から、基地外の方が適当」としている。いずれにせよ、11年度から3年間の期間となる市総合計画の次期実施計画に関連事業が盛り込まれるかどうかが当面のポイントとなる。
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