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- ID:
- 46647
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0701
- 見出し:
- 政権交代:9カ月 温暖化防止の道見えず
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20100702ddlk19010118000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
◇温暖化防止の道見えず
「立派な目標を掲げたはいいものの、具体的な道筋が何も示されていない」。政府の環境政策について、循環型社会構築の研究に取り組む山梨大大学院教授の鈴木嘉彦さん(63)は厳しく評価する。
昨夏の衆院選マニフェストで、民主党は温室効果ガスの「90年比25%減」という高い数値目標を設定、鳩山由紀夫前首相が世界に発信して注目を集めた。しかし、この目標は国際合意が前提で、今のところ各国を巻き込む具体的な手だては見えてこない。
「目標に向けて具体的に何をするのか参院選で示すべきだが、マニフェストからは記述自体が消えてしまった」と、鈴木さんは落胆する。実際、参院選マニフェストに削減目標に関する記述はない。
一方、政府は3月、省エネ住宅の新築やリフォームで最大30万円分のポイントが発行される「住宅版エコポイント」の受け付けを始めた。環境省によると、県内の申請件数は5月末までに182件。申請窓口の一つ、県建築士会の担当者は「断熱材や二重窓を付けるなど、関心は高まっている」と手応えを
感じている。
18日に発表された新成長戦略でも、政府は「環境・エネルギー」など主要4分野で123兆円の市場と500万人の雇用を創出すると提示した。
鈴木さんはこの方向性を評価するが、「産業育成のための財源をどこから捻出(ねんしゅつ)するのか明確でない」と指摘する。
山梨では、豊かな森林資源や小水力発電を活用した新エネルギーへの転換を基幹産業に育てることができれば、地域活性化の道も見えてくるというのが鈴木さんの考えだ。
資源エネルギー庁の08年の統計などによると、石油や電気による県内の総エネルギー消費量のうち、16%ほどが水力発電で賄われた計算になる。しかし、バイオマスや太陽光発電は正確な統計がないほど微量だ。
果樹の剪定(せんてい)枝や間伐材などから作る固形燃料「木質ペレット」の実用化に取り組む「飯島製材所」(山梨市)の飯島省二さん(39)は「産業が育つためのバックアップ体制が整っていない」と話す。
県内では剪定枝は産業廃棄物として扱われるため、ペレットに加工する場合は、わざわざ産廃処理業者として登録しなければならない。また、森林から間伐材を運び出すための作業道の確保など、周辺の整備も必要だ。
「地域ぐるみでエネルギーの転換を図る自治体に多額の補助金を出すなど、より大胆な政策転換が必要」と鈴木さんは言う。
だが、財源として期待される環境税の議論はなかなか進まない。民主党は参院選マニフェストで地球温暖化対策税(環境税)の11年度導入に1行だけ触れているが、これが盛り込まれていた地球温暖化対策基本法案は、国会閉会で廃案になってしまった。
自民党もマニフェストで環境税には言及しておらず、争点となるにはほど遠い状況だ
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