一、 先月中頃?毛利藩宍戸備後と申人若年
ニ候得共英傑の人物広嶋表出張老中小
笠原侯との御応接始終長ノ方利強く
問答埒明不申候由ニて公辺より其方若輩
ニて萬事辧へ無之ニ付年輩の者と相替リ候様
被仰出候処長よりハ此もの乍若輩何事も承り
辧へ罷在候ニ付其者より萬端御聞取被下候よう
被仰付候由申立候由ニて日数送リ候処長州より
浪士弐百人計リ出奔いたし趣断出書付差
出しに付御応接延行一先岩国?引取可
申旨被仰出候ニ付宍戸岩国?引取其行装天晴
勇士と相見へ候由其夜五ッ頃大筒の音いたし
伊井陣屋動揺いたし由是ハ浪士出奔の事
聞込有之ニ付手配いたし事と相聞候
一、 当月八日暁六ッ頃浪士百人計リ備中倉
敷陣屋へ押よせ五十人計リハ町家家々
の戸を叩き此の度我等所存有之代官所
焼き払候ニ付其方共動揺致間敷併焼払
の事ニ付類焼も難計間面々火の元相
防候やう申触五十人計リ直ニ陣屋へ押