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ID :  3625
公開日 :  2007年  4月24日
タイトル
[フィンランドから輸入したログハウスを据え付けた
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/women/39600.html
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元urltop:
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写真:
 
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家事と育児に追われる主婦にとって、美容院に行ってひとときのおしゃれを楽しむという時間はなかなか持ちづらい。大津市に住む美容師の藤田緑さん(41)はこうした主婦の悩みをすくい取ろうと、昨年8月 に、子連れだけに特化した美容室を開店した。自ら家事と育児、仕事をこなしながら、より主婦がくつろげる癒やしの空間をつくろうと日々奮闘している  JR琵琶湖線の膳所駅から車で約10分。眼下に琵琶湖を望む新興住宅地には、京都や大阪に通うビジネスマン家庭などの戸建て住宅が立ち並ぶ。藤田さんが開いた美容室「サロン・ド・フジタ」も、こうした住宅地の一角 にある ●身近な話題に花  「この間のイチゴジャム、おいしかった。作り方を教えて」「うれしいわ。砂糖を多く入れるのがコツよ」。お客は近所の人が多く、子供の学校や生活など身近な話題に花が咲く。3歳と4歳の女の子を連れて来店した大岩鹿 乃子さん(35)は「最初は近所の人に聞いて来たんですが、同じ主婦の視点で子供に優しくしてくれるので落ち着きます。子供もここに来ると騒がないんですよ」とうれしそうに話す  自宅の駐車場に、フィンランドから輸入したログハウスを据え付けた。カット用のいすは1脚だけ。店内の広さも6畳程度と決して広くはないが、それだけお客と子供の距離が近いため子供も不安がらずに済む。赤ちゃん なら、いすの近くにかごを置いておけば心配もない  お客さん同士、子供連れという共通項があるため、一方のお客がカットしている時に別のお客が両方の子供の面倒を見る、ということもしばしばだ  「大きなお店だと子供用のお遊びスペースとカットする場所が離れてしまう。赤ちゃん連れなら、ミルクの時間が来るとちょっと休んでおっぱいをあげることもあるんですよ。誰も見てませんしね」と藤田さんは笑う  藤田さんは高校卒業と同時に美容師免許を取得。その後、東京の帝国ホテルに通いながらエステティシャンの資格も取り、京都市内の大型エステ店に勤務した。しかし、店のノルマ主義に疑問を抱き、大津市内の美容室 で10年間、チーフとして働いていた ●口コミで評判  出産のためいったん、店は辞めたが、仕事への復帰の願いはずっと持ち続けた。近所の主婦に頼まれ、自宅の2階で子供たちのカットをこなしているうち、多くの主婦から「子連れで行ける美容室がない」という悩みを 打ち明けられた  平日は家事と育児にかかりきり。休日、父親に子供を預けて行こうとすると、せっかくの休みがつぶれる。子供の一時預かりの施設も少なく、他の客がいると子供が泣き騒いでしまう――。「これなら、店が開ける」と思い 立ち、2年前から開店の準備を始めた  オープンして8カ月余り。今では口コミで評判が伝わり、常連客は100人程度に増え、多いときには1日で6―7人のお客に応じる。カットやパーマ、エステなどサービスの内容はお客さんとじっくりカウンセリングしながら 決めるため、お客1人当たりで1時間以上かかることもある。「最近ではだんだんと忙しくなって、お客さんに好きな時間を指定してもらえなくなっていることが気掛かりです」と苦笑する  今の仕事を始めるまでは「専業主婦は優雅に暮らしていると考えていたが、誤解だった」(藤田さん)。主婦たちは何らかの形で仕事をしたいと思っている、というのだ。「育児と家事だけで過ごしていると、幼稚園や保 育園の内側だけの話が多くなり、社会とのかかわりが薄くなってしまう。そうした危機感があるのではないか」と藤田さんは見る。実際、藤田さんの店を介した付き合いを通じ、仕事を始めたという人もいるという  藤田さんの将来の希望も、こうした主婦の思いに一脈通じるところがある。「同じような子連れ専用の美容室をもう1店つくる」。後輩の美容師にも、同じように子供を産んで再復帰したいと考える人がいる。しかし、一般 的な美容室では、なかなか働き場所がない、という。「出産や家事などで家庭に入った美容師は多い。一方、子連れ専用美容室のニーズもある。こうした動きを結び付けられれば」と話す  自ら、2人の子供を抱えつつ、育児と主婦、美容師という3役をこなす。「大変じゃありませんか」との質問に「楽しいから、しんどさは全然ないですよ」と笑った。