ID :
2260
公開日 :
2006年
12月11日
タイトル
[鳩時計の裏話
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新聞名
swissinfo Switzerland
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元URL.
http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7320549&cKey=1165583878000
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写真:
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スイスのお土産に鳩時計。観光客のために、スイスの大きな都市やリゾート地ならどこでも、様々な種類の鳩時計をずらりと用意している
しかし、皆さんご用心。鳩時計の多くはスイス製ではない。中国製、韓国製、日本製のものもたくさんある。
スイス産は1社のみが生産している
鳩時計の本家は、ドイツのシュヴァルツ・ヴァルト ( 黒い森 ) 地域で作られたものだ。多くは狩りをしている様子の彫り物がついている
しかし、スイスではチューリヒ近郊のレッチャー ( Lotscher ) 社が「世界でただ1つのスイスの鳩時計」と自負している
「私たちが作っているのはスイスの山小屋 ( シャレー )
タイプのものです。これは、スイスではよく見られる建築で、この鳩時計はスイスのオリジナルです」と胸を張るのは、レッチャー社のディレクター、ビジャン・バヒさん
「鳩時計は2つの部分に分かれています。木でできた飾りの部分と、鉄でできた機械の部分と」
職人芸
多くの会社がひしめく鳩時計市場の中でも、レッチャーはやはり老舗、業界トップを誇る。同社の製品は高い技術による繊細な作りの木工部分や精巧な機械部分が他のブランドをよせつけない魅力だ
レッチャーは、スイスに2つの生産工場を持っている。1つは、ベルナーオーバーラント地方( Berner Oberland ) のブリエンツ村 ( Brienz )
で、ここでは木の部分の加工を行っており、もう1つのチューリヒ近郊のフェランデン ( Fallanden ) では、時計を組み立てている。ブリエンツは木材加工の職人が多くいることで名高い村だ
「外側の木の部分を完成させるのに、3カ月かかります。また、ひび割れなどができないように何年間も自然乾燥させた菩提樹を使っています」とバヒさんは説明する
木は伸びたり縮んだりするので、時計を最後に組み立てるのは簡単な仕事ではない。レッチャーが作る鳩時計の部品で唯一、外国で作られるのはムーブメント部分で、ドイツ産だ。バヒさんによると、鳩時計用のムー
ブメント部品は、もうドイツでしか生産されていないという
しかし、レッチャーはその他の全ての付加価値が「スイス産である」ことを誇りにしている
レッチャーのディレクター、ビジャン・バヒ氏 (swissinfo)
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踊る人形、水車や動物、そしてもちろん飛び出す鳩が山小屋風の時計に取り付けられる
鳩時計の下には鎖がぶら下がっており、これを1日に1回か、8日に1回、引くことで鳩時計が30分や1時間おきに飛び出す仕組みになっている。1番人気があるのは、1日に1回引くタイプだ。人々は日課として、この鎖を
引くのを楽しみにしているのだ
中でも570モデルは人気がある。ベルナーオーバーラントによく見られる、典型的なスイスのシャレータイプだ
「ブリエンツをはじめ、ベルナーオーバーラントを訪れれば、このような山小屋をたくさん見ることができます。この鳩時計を見るたびに、スイスを思い出すことでしょう」とバヒさんは語る
鳩時計の中にはオルゴールがついているものもある。これもスイスのオルゴール老舗、ヴァウド州サントゥ・クロワにあるリュージュ ( Reuge ) 社がレッチャーのために作ったものだ
やはり人気はエーデルワイス
時代を超えて人気のある曲目は、「エーデルワイス」と「ゆかいに歩けば」。作る方としては、少々飽きたりするのではないか。「私たちとしては、ちょっと他の曲も聴きたいなという感じもしますけれど、やはりこれが、1
番人気がありますね」とバヒさんは言う
「現代でも、鳩時計は若い人にもお年を召した方にも人気があります」とバヒさんは付け加えた。しかし、問題がないわけではないらしい
「鳩時計の需要については、問題ありません。けれども、今後も熟練工を輩出し続けられるかどうかとなると、ちょっと分かりません。若者は、オルゴール作りよりも、ハイテク産業に流れていきますからね」
フェランデンの工場を訪ねた。工場に入って見回すと、あらゆる形の、あらゆる大きさの鳩時計であふれている。過去数年で、レッチャーは3つの限定版を生産した。生産を中止した全てのモデルについて、最低でも1
つは手元に残すそうだ
「いつか、私たちが長年作ってきた鳩時計の、博物館を作りたいと思っているのですよ」