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木造建築のネツト記事
ID :  14080
公開日 :  2009年 11月19日
タイトル
[看板が秘める大工の歴史
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20091119-OYT8T01382.htmhttp://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/news/20091119-OYT8T01382.htm
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東京で100年前創業千葉の建築会社が保管 100年にわたって受け継がれてきた看板を大事に抱える室町社長  今年創業100年を迎えた千葉市若葉区の建築会社「室町建業」に、創業者から現在の5代目社長・室町幸治さん(60)に至るまで、代々受け継がれている木製看板がある。「東京市本所区大工職業組合」と彫られたこの 看板に、東京都江東区役所の文化財専門員が着目した。都公文書館(港区)などで資料を調べたところ、これまで大阪方面でしか確認されていなかった“江戸の大工職業組合”の存在が浮かび上がってきた。
 きっかけは、室町社長が「100周年の節目に創業地を訪ねたい」と、看板に書かれた「亀戸町」などの旧地名をもとに、亀戸地区のある江東区に相談したことだった。思いも寄らぬ展開に、室町さんは「先達から改めて モノを大切にする精神を教えられたようだ」と喜ぶ。
 室町建業の創立は、1909年(明治42年)2月。社寺建築の宮大工だった室町社長の先祖が、東京都江東区内で興した。60年代に千葉市に移転してからも、住宅、ビル、学校などを建設する総合建築業を続けてきた。
 木製看板の大きさは、縦80センチ、横20センチ。看板は創業時に加盟した組合の一員として、旧東京府から認可を受けた証しであり、上部に小さな穴が開いていることから、社の表玄関に掛けて使用していたとみら れる。現在は飾ることなく会社の事務所に保管しているが、代々家業を継いだ社長らによって、受け継がれてきた。
 江東区文化財専門員の龍沢潤さん(36)は、看板に書かれた文字をヒントに都公文書館で関連資料の調べを進めた。その結果、「東京市本所区大工職業組合」が、建築の神を祭る南房総市の莫越山(なこしやま)神社に 、石碑を奉納していたことが判明。龍沢さんが現地に出向き、石碑に書かれた内容を調査したところ、この組合以前の宝暦11年(1761年)にも、京橋弓町(現・東京都中央区銀座)の大工が複数人で組織を結成し、莫越 山神社に奉納していたことがわかったという。
 龍沢さんは「南房総と江戸は離れているが、当時も湾上を船が行き来し、魚類や石材を運んでいた。それに加え、“信仰”も二つの地域を結んでいたという点が面白い」と話し、この調査報告を江東区発行の広報紙に掲 載した。一方の室町社長も「関東大震災や東京大空襲の際には、先祖が看板を持って外に逃げたと聞かされてきた。100年守られたモノを大切にする心を、建築業に反映していければ」と話す。龍沢さんは、今後も調査 を続ける予定だ。