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木造建築のネツト記事
ID :  13741
公開日 :  2009年 10月28日
タイトル
[和歌山市 造作部材製造業「武村工芸」
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20091027ddlk30020505000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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◇現場で木材の反り直せる矯正機開発  昨夏から木製建具反り矯正機「リカーブ」の製造を始めた。「建具の世界で木材の反りは永遠のテーマ。今まで反った不良品は交換するしかなかったが、現場でも直せるのは画期的なこと」と、武村裕章社長(49)は胸を 張る。新築マンションや一戸建てに使われる木製扉。木目の柔らかい風合いが好まれるが、水分を含む以上反りは付き物という。
 3年前の夏、武村社長は横浜市の大型分譲マンション建築現場で頭を抱えた。納めに向かった木製扉に40数枚反りが出た。木製扉の中でも引き戸の場合は反りは大敵だが、加工から運搬までのどの過程で生じたかは 特定できなかった。不良品の交換は自己負担が原則。一戸建てと違い、多数を納入するマンションの場合は交換すれば負担が大きい。
 「低熱で温めたら直るかもしれない」。現場トップの許可を取って、電気店に駆け込んだ。遠赤外線ヒーターを発見。試しに扉1枚に4台のヒーターの熱を当ててみた。木材が軟化したのを見計らい、膨らみを向こう側に 押し戻す。うまい具合に反りが取れた。作業を続けるうちに温める時間や曲げるコツが分かってきた。
 「反りは簡単に直らない。反った製品は交換して廃棄する」が業界の常識だった中で、この成功は現場で話題になった。反りを直す様子をのぞきに来る人もいたという。結局交換するしかなかった扉もあったが、武村社 長らは試作を繰り返して、遠赤ヒーターと木材を矯正する支柱を一体にした現在の「リカーブ」を完成させた。
 武村工芸は創業して今年で31年を迎えた。和風の一戸建てが減り、建具の需要が変わるなかで、扉周りの加工木材を中心に手がけてきた。先代社長は建具の中でも作り置きがきく分野に商機を見つけた。5年前に後 を継いだ武村社長は「ここ数年マンション需要も減って業界は厳しいが、反った製品が直せる確信が持てた喜びは大きい」と前を見据えている。