ID :
12415
公開日 :
2009年 7月 7日
タイトル
[谷崎潤一郎の旧邸「鎖瀾閣」 住民反対で復元断念
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002098706.shtml
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元urltop:
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写真:
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阪神・淡路大震災で全壊した文豪谷崎潤一郎の旧邸「鎖瀾閣」(神戸市東灘区岡本)の再建を目指す鎖瀾閣復元委員会は6日、跡地近くの市有地での復元計画を断念すると発表した。震災後に募金を行い、建
設費用は工面したが、一部近隣住民から賛同を得られなかった。岡本地区で海が見える別の土地の提供を求め、年末までに寄付者が名乗り出ない場合は寄付金を返却するという。
鎖瀾閣は1928(昭和3)年、谷崎自らが設計して建築。31年まで住み、代表作「蓼喰う虫」などを執筆した。
復元に向けた募金や署名活動は、震災直後の95年7月、地元住民や研究者らが始めた。神戸市も、跡地から約150メートル東にある岡本(梅林)公園拡張予定地の提供を提案した。
2006年、「痴人の愛」ゆかりの旧宅「ナオミの家」(同市東灘区本山北町3)を購入した伊丹市の建築業者が、鎖瀾閣に併設して移築保存することを条件に、予定の約5600万円の半額で工事を請け負うことを提案。建
設費のめどは付いたが、市の設置許可に必要な近隣住民の合意の取り付けが難航した。
反対する住民は「当初の計画通り、梅林の拡張に活用を」と、再建中止を求める署名を近隣の180軒から集め、市に提出した。昨年10月、賛成する住民側が新たに鎖瀾閣復元推進委員会を発足させ、住民同士が話し
合いを重ねたが、合意には至らなかった。
神戸市緑地課は「署名は明確な意思表示として重く受け止める」とし、拡張予定地の梅林整備を住民と検討する予定。
復元活動を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「潤jun」理事長のたつみ都志・武庫川女子大教授は「谷崎の精神性をも象徴した住居で、地域の貴重な文化的財産だった。残念な結果」と話している。問い合わせ
は同法人TEL072・754・2116