ID :
10830
公開日 :
2009年 3月11日
タイトル
[離島の節約建築術、ログハウスを自分で?
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/housing/world/TKY200903110190.html
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元urltop:
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写真:
複数の写真が掲載されていました】
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バンクーバーからフェリーで約1時間半離れた島、ガリアーノ島。リタイアした後は、のんびりと島で過ごすために引っ越してきたというご夫婦や、都会の喧噪を離れて作品制作に集中したいというアーティスト
たちが集まる。
島のコミュニティーは団結していて、「助け合う」という行為は日常茶飯事。広大な土地にログハウスを建てる際も、この助け合いは行われる。友人の父ロンは63歳の時、定年退職に向けて島への移住を決め、節約す
るために島の人たちの助けを借りて、自らログハウスを建て始めた。「自分たちで家を建てるなんて大丈夫なの?」と一瞬不安がよぎるが、島の住民の中には多くの家づくりをサポートしているうちにプロのような技術
を習得している人がいるのだとか。いざという時は島に住む女性大工さんの助言を得ながら、作業を進めるから安心だ。
大工さんを数人雇うと高くつく建設費も、自分たちで建築を行うことによって大幅に経費を削減することができる。目の前には広大な自然。「木はたっぷりあるから材料費もあまりかかっていない」のだそうだ。大きな木
を切断したり表面を平らにする機械などは、持っている人から貸し借りをして作業を行う。近所の人が薪を保管する倉庫を作りたいといえば、当然のように手伝うロン。お礼は労力で返し、お金をかけず自分たちででき
ることは経験者やお互いの知恵を出し合いながら自分たちで行う。
「定年退職したのだから時間はたっぷりある」と急がず、ログハウスを3年かけてのんびり建設した。風呂のタイル張りや、部屋の窓枠、壁塗り、扉や網戸、すべてを自分たちで作ったという家は、「こんな立派なログハウ
スを自分たちで?」と驚くほどすてきだ。「少しゆがんでいるけどね」という床もご愛敬。家の周りには、建設中に寝泊まりした小さな小屋や、仮設トイレ、仮設キッチンなどが残されている。もちろんこちらも手作りで、たく
さん来客があった時は臨時の部屋として利用するので、小屋もそのまま保管する。天窓を追加して星を見ながら寝るという案もあるそうだ。自分たちで作った小屋や家が、これからも自分たちの手で進化していくなんて
夢がある。
庭の家庭菜園も先輩住民から「野生の鹿が作物を荒らすからさくが必要」と助言を受けて手作り。住民の知恵と助け合いで成り立つ離島での節約術は、費用を抑えるだけではなく住民の団結を深めるあたたかい建築術
なのだ。