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木造建築のネツト記事
ID :  9556
公開日 :  2008年 11月27日
タイトル
[良質な家具と人形はよく似ている。ジョージ・ナカシマの家具
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新聞名
四国新聞
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元URL.
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/column/article.aspx?id=20081127000069
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元urltop:
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写真:
 
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良質な家具と人形はよく似ている。例えば世界的家具作家、ジョージ・ナカシマの家具を思い浮かべてみる。彼は森の中で何十年、何百年もの間生きてきた木を尊敬し、好んだ。少しずつ少しずつ年輪を重ね てきた木である。
 その木にすぐ手を加えたりはしない。じっくりと対話しながら、木に込められていた美しさと、その木にふさわしい第2の人生を見つけ出す。そうして作られた家具は使い込むほど味が出て、親子何代にもわたって伝えら れるほど大切に使われる。
 京人形などの人形もそうだ。白くなめらかな顔を作り出す顔料の胡粉(ごふん)。これは海で年輪を重ねるように少しずつ大きくなったカキなどの貝殻を原料とし、さらに10年以上風化させた上で作られる。
 それを一度塗れば人形が完成するわけではない。作家は薄く何度も何度も、場合によっては納得いくまで何年もかけて塗り重ねる。そうして作られた人形は使ううちにツヤが出るし、100年単位でもつという。
 全く異なる二物のそんな共通点を教わったのは、ナカシマの作品が並ぶ「桜ショップ」(高松市天神前)で開かれている造形作家、後藤朝子さんの個展だった。そこでは実に静かにゆったりと時間が流れていた。
 早急に結果を求めたところで、いいものはなかなかできない。時間をかけ、周到な準備と入念な対話、相手への十分な愛情があってこそ、長く大切にされるものを生み出せる。これは家具や人形に限ったものではない だろう。あせらず、ゆっくり、丁寧に。