ID :
9549
公開日 :
2008年 11月25日
タイトル
[「味わい」「環境」両立に商機 マルイ住宅、古民家の良材を再利用
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新聞名
フジサンケイ
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元URL.
http://www.business-i.jp/news/venture-page/news/200811260030a.nwc
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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古い民家を解体する際に出る良質の古い木材を買い取って、再利用するビジネスが広がっている。廃棄コストを削減できるうえに、環境負荷の低減にもつながるためだ。政府が進める「200年住宅」の普及
政策とも関連し、古材を生かした住宅再生(リノベーション)のニーズも高まりつつあり、さらなる市場拡大も期待されている。
「これほど高く売れるとは思わなかった」
木造住宅の建設や改装を手がけるマルイ住宅(大阪府枚方市)の池上成吾社長は驚きを隠さない。解体した家屋から得られた良質の「はり材」の販売価格は2万~3万円で、新品の約3倍に当たる。50~80坪の民家を
解体すると、20万~30万円分の古材を調達できるという。
同社はヴィンテージアイモク(松山市)が運営するフランチャイズチェーン(FC)システム「古材倉庫」に加盟し、11月から古材ビジネスに乗り出している。
マルイ住宅では年間十数棟の古民家を解体しているが、80~100年経過した国産木材は、「ノミやカンナを受け付けないほど硬い良材が多くみられる」(池上社長)と明かす。アンティークな木材を求める人も多いのに
加え、「入手したいが、どこで買えばいいか分からない」「適正価格がつかめない」といった声が寄せられたことから、古材ビジネスへの参入を決めた。古材は確かに入手が困難で付加価値も高い。マルイ住宅では、住宅
に古材を使用することで、他社との差別化を図る。
古材倉庫は、ヴィンテージが2005年から開始。FCなどから古材を買い取った後、寸法や外見などのデータを本部が一括管理、業者や個人に販売するシステムだ。古材を鑑定できる人材の育成も行っている。現在約1
00社が加盟し、売り上げは年間10億円にまで拡大。同社では「資源の再利用としてだけではなく、味わいをもつ建築資材として活用の幅を広げたい」としている。
政府の掲げる200年住宅構想も追い風だ。築100年の古民家をさらに100年もたせようとする場合、家屋の雰囲気を壊さないためにも古材で補強する場合が多い。樹齢100年のヒノキの場合、伐採されてから約10
0年後に最も強度が増すとの研究報告もあり、新築住宅に古材を活用する動きが活発化している。
戸建て住宅着工数の減少に伴い、住宅各社はコスト削減に躍起になっている。その点、これまで廃棄物として処理されてきた古材を再利用すれば、解体と廃棄の費用が減少し、価格競争力も向上する。古材市場は今後
も成長が見込まれており、古材を生かした個性的な住宅の提案など、新たな市場創出の動きが強まりそうだ。