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ID :  9372
公開日 :  2008年 11月 2日
タイトル
[小田原市の職人が新しい家造り提案/コンセプトハウスが3日オープン
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新聞名
神奈川新聞
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元URL.
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiioct0810887/
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元urltop:
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写真:
 
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自然環境に負担をかけず長く暮らせる住まいを提唱する家造りのプロたちが、自ら手掛けた「コンセプトハウス・ゆら」が三日、小田原市東町三丁目にオープンする。一世代で使い捨てられてしまう昨今の家 造りを見直すきっかけになれば-と、地元の職人たちのグループが三百年近く住み続けられる住宅を建築。モデルハウスとしてだけでなく、環境保護イベントなどの会場として貸し出し、自然と共存できる暮らしの在り方 を発信していく。
 県産業技術センターによると、職人たちが自ら問題提起と実践に取り組むのは珍しいという。
 市内の大工や左官、とび職ら六人が六年前につくった「あしがら職人(つくりて)の会」が、一年がかりで完成させた。木造二階建てで、延べ床面積は約五十五坪。一般的な建売住宅の”寿命″は三十~四十年とされるが、 この家は三百年近く住むのが可能という。
 耐久性へのこだわりは随所に。十二本の柱は、一般の倍以上の二十六センチ四方の角材を使った。素材は、新月の日に伐採した杉。同会発起人で工務店を経営する岩越松男さん(53)によると、この日に切った木は、 栄養分のでんぷん質が少なくカビが生えにくいという。
 岩越さんは、提唱者であるオーストリアの元営林署員を訪ねて独自に研究。四年前に特定非営利活動法人(NPO法人)「新月の木国際協会」(千葉県東金市、増田正雄理事長)を別途立ち上げ、この手法の普及活動に 取り組んでいる。
 さらに、壁と天井には羊毛の断熱材を施した。木材の腐敗の原因となる結露を防ぐことに加え調湿機能に優れる。床や壁には、秦野市産のヒノキを使うなど資材の”地産地消″にもこだわった。
 業界では顧客のニーズに合わせた安価な家造りが主流。資材は接着剤や防腐剤を塗装した集成材が使われるケースが多く、解体時に有害物質が発生しやすい。コンセプトハウスは添加物を使わない家造りを心掛け、 解体時も自然への影響がほとんどないという。
 課題は、一軒約三千万円かかる建築費。一般的な住宅(延べ床面積三十~四十坪で一千五百万円前後)の倍という。岩越さんらは、小田原市など行政が住宅を社会の共有財産としてサポートしてくれるよう呼び掛けて いく予定だ。
 目標は市内に「エコ団地」を造ること。おがくずを燃料とするストーブなどの共有化も考えており、岩越さんは「有限な石油依存型住宅から循環型の家造りを提案していきたい」と話している。