ID :
8921
公開日 :
2008年 10月 1日
タイトル
[学生と住民一緒に「室」作り、森林調査山梨・小菅村
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20080930-OYT8T00104.htm?from=navr
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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多摩川の源流部・山梨県小菅村に、東京農業大(世田谷区)が設けた体験型研修施設「多摩川源流大学」で、学生と村民の交流が深まっている。泊まり込みで村民と一緒に森林調査をし、8月には野菜を保存
する室(むろ)の再生に協力。狛江市も同村と友好都市提携を結んでおり、多摩川の流れに沿って住民同士のネットワークができつつある。(吉良敦岐)
同施設は廃校の小学校校舎を活用して、2006年10月にオープンした。
農大といえどもキャンパスは住宅街の中。「実際に枝をうつ音や山のにおいを感じてもらいたい」(学習支援課)との狙いで開設された。今では村で1泊2日の実習を4回組み込んだ講義もあり、年間延べ約1000人が利
用している。
施設で学ぶのは学生だけではない。村民も研修を受け、学生の講師役として森林調査に同行し、夜には施設で村民が伝統芸能を披露したり、昔話をしたりして学生と交流を深めている。
今では、学生が「野菜がちゃんと育っているのか見に行きたい」と村を訪れ、村民が家に泊めることも珍しくない。夏休み中、近くの養魚場やキャンプ場でアルバイトをしながら住み着いた学生もいるという。
村内の「小菅の湯」近くに8月に完成した室も、そんな学生と村民の交流の中から誕生した。
室は斜面を掘って作る天然の冷蔵庫。外気を遮断するため、内部は15度前後に保たれている。40年ほど前まで、村のどこの家庭にもある“先人の知恵”だった。
だが、大型の室を作るのは高齢者には難しい。そこで「懐かしい室をもう一度作ってみたい」という村民の声に応えて、学生が奮起。重機で掘った穴からクワで土砂をかき出す作業を手伝い、高さ約2メートル、奥行き約
10メートルの室が完成した。
「小菅の湯」の黒川文一支配人は「収穫した秋の野菜を貯蔵して、冬には料理をしてお客に振る舞いたい。室を紹介する見学ツアーも企画する」と意気込む。
また、狛江市では今年度から子供同士の交流に力を入れる。6月には、村の小学生のほぼ全員にあたる約30人が市を訪れた。8月には狛江の小学生ら約70人が村を訪れ、自然体験教室などに参加している。
農大学習支援課は「顔見知りになれば、過疎や環境の問題ももっと深く考えられるはず。源流大学には、一般向けの生涯学習講座も設けたい」と話している。