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ID :  8484
公開日 :  2008年 8月10日
タイトル
[米6月中古住宅販売保留指数、大幅上昇=底打ち判断は時期尚早
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新聞名
Klug
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元URL.
http://www.gci-klug.jp/masutani/2008/08/10/003418.php
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写真:
 
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-住宅取得控除の効果への期待強まる- 【2008年8月9日(土)】 - NAR(全米不動産業協会)が7日に発表した6月の中古住宅販売保留指数は、市場予想を大幅に上回り、昨年10月以来8カ月ぶりの高水準となった。
 また、地域別でも南部地区の前月比9.3%上昇(前年比16.6%低下)を筆頭に、西部は同4.6%上昇(前年比1.7%低下)、北東部も同3.4%上昇(前年比15.4%低下)、中西部も同1.3%上昇(前年比13.3%低下)と、すべての 地域で改善が目立った。
 同指数は中古住宅販売統計の先行指標となっていることから、6月データが大幅に改善したことで、今後、住宅市場が改善する可能性が出てきたようにも見える。
 しかし、前年比を見ると、各地区は依然、大幅減少で、全体でも12.3%低下と低迷が続いている。今回の数値の急伸は、フォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)手続きに入った中古住宅の販売増による一 時的要因と見られている。
 むしろ、フォークロージャーの対象となっていない通常の中古住宅の販売は、最近の住宅ローン金利の上昇や住宅価格の低下が続いているため、様子見気分が強いことから、増加する状況にはなっていないというの が大方の見方となっている。
 ロバート・パリー元サンフランシスコ地区連銀総裁は8日、ブルームバーグとのインタビューの中で、来年初めまで住宅市場の悪化が続くとの見方を明らかにしている。
 また、NARも「中古住宅販売保留指数はこのところ安定した動きを見せているが、中古住宅市場が底打ちしたと見るのは時期尚早となる可能性がある」と慎重な姿勢だ。
 6月の中古住宅販売保留指数(季節調整済み、2001年=100)は、前月比5.3%上昇の89となり、5月の同4.9%低下から一転して上昇、市場予想の1.0%低下を大幅に上回った。
 一方、5月の同指数は84.7から84.5に下方改定され、対前月比伸び率も当初発表の4.7%低下から4.9%低下に下方改定されている。
 中古住宅の購入契約は、通常、契約書に捺印して1- 2カ月後に住宅が引き渡されて完了するが、中古住宅販売保留指数は、引き渡し完了時点での販売件数ではなく、契約書に捺印した時点での販売件数を示すため、中古住宅販売統計の先行指標となっている。
●住宅市場活性化法、景気回復のカギ握る=NAR会長  NARでは、中古住宅市場の回復には、政府の住宅市場活性化対策が不可欠として、先月、議会で成立、ブッシュ大統領が署名に応じた住宅市場活性化法の効果に期待を寄せているところだ。
 この点について、NARのリチャード・ゲイロード会長は、「住宅市場活性化法の中で、フォークロージャーを阻止するための措置は有益だが、それよりも住宅ローンの限度額引き上げや住宅取得控除制度の方が景気回 復には効果がある」と指摘している。
 さらに、同会長は、「これらの住宅活性化措置によって、消費者は、豊富な住宅在庫や住宅価格の下落を最大限に利用することが可能になる」と述べ、今後の住宅市場の回復に期待を寄せている。
 議会が景気回復の決め手として、成立させた住宅市場活性化法は、FHA(連邦住宅管理公団)が既存の住宅ローンの借り換えを促進させ、フォークロージャーを減らすため、向こう3年間にわたり、最大3000億ドル(約3 2兆7000億円)の債務保証を可能にするというものだ。
 また、州政府に40億ドル(約4400億円)の無償資金供与を行い、フォークロージャーの対象となった住宅の修理や買い取りを可能にすることにもなった。
 最近のフォークロージャーの動向については、米不動産調査会社リアルティトラックが7月25日に発表した第2四半期(4- 6月)のフォークロージャー件数(デフォルト通知や競売通知、銀行差し押さえ件数の合計)があるが、前年比121%増(前期比14%増)の74万件と、2倍以上に増大している状況だ。
 これは、171世帯につき1世帯の割合で住宅を失っている厳しい状況で、依然、底打ちの兆しが見えていない。同社では、今年のフォークロージャー件数の予想を2倍強の約250万件に引き上げている。
 また、全体のフォークロージャーのうち、実際に銀行が担保として差し押さえた物件数は、全体の30%となり、第1四半期(1-3月)の24%から急増した。また、今年上期(1- 6月)の同件数は前年比154%増の37万0179件と、1年間で2.5倍になっている。
 民主党では、今度の住宅対策によって、返済能力がほとんどない世帯を含め、最大で40万世帯(当初の150万- 200万世帯から縮小)を救済することが可能だとしている。一方、CBO(米議会予算局)の推定では、約50万世帯、金額にして850億ドル(約9兆3000億円)の債務保証になると推定している。
●ファニーメイとフレディマックの住宅ローン債権買い取り限度額引き上げへ  これらの措置に加えて、同法によって、ファーニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)が購入できる住宅ローン債権の上限額も引き上げられる。
 上限額については、今年初めに12月末までの暫定措置として1物件あたり41万7000ドルから72万9750万ドルに引き上げられているが、期限切れ後は、62万5000ドル(約6800万円)に引き上げられる。
 サブプライムローン問題は、ジャンボローン(コンフォーミングローン上限(2007年時点で1世帯向け住宅41万7000ドル)を上回るローン)の焦げ付きが発端となったが、今回の上院案によって、住宅ローン債権を保 有する銀行から、高額の住宅ローン債権の買い取りが進展すると見られている。それによって、銀行は新規の住宅ローン融資がしやすくなることが期待されるのだ。
 もう一つの柱は、初めて住宅を取得する世帯に、取得額の最大10%(ただし、7500ドル(約82万円を超えない)の住宅取得控除を認めるもので、総額で約150億ドル(約1兆6400億円)の税制措置が取られる。
●NAR、2009年の中古住宅販売件数は7%増を予想=住宅取得控除の効果で  NARが7日発表した中古住宅販売の先行き見通しでは、2008年は515万戸に減少すると予想しているが、2009年は住宅取得控除の効果で、前年比7%増の551万戸に回復するとしている。
 しかし、新築住宅販売の見通しについては、2009年は同8.8%減の46万4000戸、住宅着工件数も同17.2%減の79万5000戸と低迷が続くとしている。
 また、NARの中古住宅価格の先行き見通しでは、2009年の中央値は前年比3-6%上昇と予想している。さらに、住宅ローン金利も30年固定金利で、2008年末までには6.5%にまで上昇すると予想している。(