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木造建築のネツト記事
ID :  8466
公開日 :  2008年 ccc
タイトル
[かながわ瓦版/還暦の桜長く愛して
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新聞名
神奈川新聞
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元URL.
http://www.kanaloco.jp/serial/entry/entryxiiiaug08085/
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元urltop:
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写真:
 
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座間市相模が丘地区の桜並木が、数年のうちに還暦を迎える。寿命六十年ともいわれるソメイヨシノ。戦後、地域とともに歩んだ桜は年を重ねたことで傷み、倒木の危険性が高まってきた。古里らしい風景を 残すのか、安全のため切り倒すのか。住民の選んだ道とは-。
昭和三十年代、畑が広がる同地区の用水路沿いに、ソメイヨシノは植えられた。戦後復興が進むにつれ、畑は住宅に変わった。一方のソメイヨシノは年々幹の太さを増し、春の「桜まつり」は地域の恒例行事になった。
 「神社仏閣がないこの地域では、桜まつりが『古里づくり』の一翼を担ってきたんだ」。地元の桜保存会の元会長、坂本文彦さん(66)の口ぶりは誇らしげだ。
 ところが、二〇〇四年の樹木医の診断で桜並木の高齢化が判明する。約一・六キロに百二十九本残る桜の八割が強風で倒れる危険性が高いとされた。
 昨年秋には台風で一本が倒れた。けが人は出なかったが、坂本さんの元には住民から「家に倒れかかったら危ない。切ってほしい」との切実な声も寄せられた。
 桜並木をどうすべきか- 。保存会だけでなく、自治会、商店会も巻き込んで地域全体で今後を考えようと昨年十月、準備委員会が発足。住民の思いを酌むため、自治会や地元の市立相模中学校の生徒らを対象に二月からアンケートを始めた。
 集めた声は約三千。九割近くが桜まつりに足を運んだ経験があり、八割近くが何とか桜のある風景を残してほしい、と答えた。自由記述欄には「世界中の桜を集めて世界遺産にしてほしい」「桜がなくなると学校が遠く感 じる」といった中学生の意見もあった。
 これを受け準備委員会は六月、坂本さんを会長に「新生さくら道の会」に移行した。「もっと長生きする品種に植え替えるなどして、桜の一部を残した緑道にしていきたい」と坂本さん。八月には専門家を招いた講演会 を開き、並木の土壌や周辺の環境に合った品種探しも始める計画だ。
 桜のある景観を次世代に引き継ごうと、その青写真を描く地域ぐるみの取り組みは始まったばかりだ。