公開日 :
タイトル
[温暖化防止へ国産材活用、森林整備の動き広がる
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080430-OYT1T00131.htm
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元urltop:
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写真:
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地球温暖化を防ぐため二酸化炭素を吸収する効果のある森林を整備し、国産の木材を利用しようとする動きが官民で広がっている。
日本政府は京都議定書に基づき、2008~12年度に平均で90年度に比べ6%の温室効果ガスの削減を約束、このうち、森林の吸収が大きく貢献すると見込んでいる。
ただ、輸入木材に代わって、国産木材を安定供給できる体制を作らなければ、森林の整備を継続することができず、温室効果ガス削減も進まない可能性がある。
◆森林を整備◆
日本政府は、京都議定書で約束した温室効果ガスの6%の削減分のうち、3・8%を森林で吸収する目標を掲げている。森林を間伐すると二酸化炭素の吸収量が増えるため、京都議定書は、新たな植林のほか、既存の
森林の整備による二酸化炭素の吸収量の増加を加味できるとしている。日本は新たに植林する余地が小さいため、政府は07年度から6年間で、国有、民有を含め330万ヘクタールの森林を手入れして、3・8%削減す
る。ただ、整備した森林から出る木材や間伐材は、建材や木材チップとして利用されないと、再び森林が荒れてしまうため、農林水産省は07年2月から森林整備と国産材・間伐材の利用を進めるキャンペーンを展開して
いる。
農水省のキャンペーンには、映画配給の「ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン」も協力。映画「ナルニア国物語 第2章カスピアン王子の角笛」を5月下旬に公開するのに合わせ、試写
会で一部間伐材を使って映画に登場する森を再現するなど官民挙げての取り組みになりつつある。
◆貢献アピール◆
こうした国の施策と並行して、木材・住宅大手の住友林業は2月に、柱や土台、はりなど主要構造材に100%国産材を使った戸建て住宅「大樹」を発売した。主力商品「My Forest」シリーズは主要構造材の51%を国産
材が占めるが、100%に高めた特別仕様だ。
値段は3割程度高いが、住友林業は、木を利用した後に、再び植林し、継続的に国内の森林を利用し続けることが「温室効果ガス削減など未来の環境作りに役立つ」と商品の理念を訴えている。
コンビニエンスストアのミニストップは全体の6割強にあたる約1200店舗で、吉野杉の間伐材を使った有料の割りばし「5円の木づかい」を販売している。全取扱店でみると現在、弁当を買った客に無料で配る輸入材
の割りばしを合わせた、割りばし全体の5%程度を占める。有料とすることで、環境保護の意識が高い消費者とともに環境に貢献する姿勢をアピールしている。
◆安定供給に課題◆
だが、国産材や間伐材の利用には課題も多い。コクヨはCSR(企業の社会的責任)の一環として、間伐材を使った家具や文具を販売しているが、商品数がまだ少なく、売上高は採算が取れる規模に達していない。継続し
ていくためには、「デザインなどの付加価値も高めて、消費者が納得できる商品にしていくことが必要」(広報部)と分析している。
また、日本は木材の約8割を輸入に頼っている。世界的な木材の需要増で輸入材の価格が上がり、国産材が使いやすくなっている面はあるが、「高齢化と後継者不足が進む日本の林業の現状では、国内の住宅用に必要
な量を必要なときに供給できない」(住宅大手)という問題を抱えたままだ。(