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ID :  7167
公開日 :  2008年 4月12日
タイトル
[学生らの手で再生される古民家
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000936288.shtml
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元urltop:
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写真:
 
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六甲山系の山あいにある西宮市山口町船坂で、同市の武庫川女子大学で建築デザインなどを研究する学生らが、大工らと築約二百年の古民家再生に取り組んでいる。民家には室町時代に途絶えた技法が 使われるなど、専門家は「日本の建築文化を伝える貴重な資料」と指摘する。三月から本格的な改修作業に入り、学生らは「伝統的な建築技術を後世に伝えたい」と話す。(広畑千春)  民家は木造平屋の六十六平方メートル。約二百年前の江戸後期に建てられ、増改築が繰り返されたが、三十年ほど前から空き家に。阪神・淡路大震災では基礎が傾くなど荒廃が進んでいた。
 現在は宝塚市内の男性が所有し、当初は取り壊す予定だったが、二〇〇六年夏、卒業研究で訪れた同大学の学生が木材業者らと素材などを調べた結果、何度も使われた木材だったとみられ、室町時代ごろまで使われ ていた「やりがんな」で加工した跡が残っていることが分かった。
 さらに竹のくさびで板をつなぐ「蝗(いなご)天井」の工法や、江戸中期の入り母屋造りと同後期の合掌造りの特徴を併せ持つ過渡期の建築と分かった。「つぶすのは惜しい」と、昨年三月から再生作業に取りかかった。
 まず増築部分や内装を撤去。資金は撤去部分の木材やレンガなどを売却するなどし調達した。冬は地元の休耕田で屋根のふき替え用のカヤを伐採した。
 三月十六日からは母屋の本格的な修復作業を始めた。学生十四人が大工から工法を教わりながら梁(はり)をジャッキで上げ、柱の腐食した部分を切り取り、加工した別の古材で継ぎ足した。
 今後は屋根のふき替えや土壁の復元などを予定している。活動の中心メンバーで今春、同大を卒業した田深弘子さん(22)=西宮市=は「教科書では学べない技術を伝える生き証人。再び人が集える場所にしたい」 と話す。再生後の利用については集会所やカフェなどを検討している。