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ID :  7044
公開日 :  2008年 4月 6日
タイトル
[吉野材に魅せられて 廃校跡、古民家リフォーム 
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/nara/news/20080405ddlk29040561000c.html
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元urltop:
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写真:
 
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不況が続く吉野材の直売を目指し、東吉野村小栗栖に移住した大阪市出身の元機械設計士、滝口俊二さん(62)を昨年9月に紹介した。その後、地域・環境づくりに視野を広げ、そのためのNPO法人設立に追 われる滝口さんに、あこがれた東吉野村での暮らしの感想を聞いた。【栗栖健】  滝口さんは大阪市生まれ。元々、自然派だが、東吉野村に住んだのは「基本的には、田舎でのんびり暮らしたかった。妻が古民家にあこがれていた」ため。循環型農業をやりたいとも思い、2年前に訪れた村が気に入っ たが山間部で目指した農業は無理。木が売れず山が荒れている林業の状況を知る。
 設計事務所経営の先輩は「山の所有者から直接、木を買い建築主に売る産直住宅のシステムをつくれないか」とアドバイス。協力してくれる林業家が「ただ同然の値」で貸してくれた築130年の民家を7カ月かけて改装 。畳の間4室は吉野ヒノキのフローリングに替えて古民家リフォームのモデルルームとし、昨年4月「丸太工房・月うさぎ」を開いた。
 滝口さんは古民家の魅力を「100年以上も山で育った木が家としてまた130年生きてきた。人生に比べた時間の長さを思う。太い柱、土の壁の癒やしの空間」と説明。「この良さがあまり知られていない。多くの人に、一 度ここに来てください、と言っている」と話す。古民家の紹介依頼やリフォームの問い合わせもあるそうだ。
 吉野に来て、古民家だけでなく、材木、特に吉野の杉ヒノキの良さも知った。「親の家は木造だったが意識もしなかったし社会人ではマンション暮らし。木のことはこちらに来て習い、いいもんだと思うようになった。吉野 材は中央部がピンクがかって美しい」。古民家か新築かは「好きずき」だが、家は木造を薦めたいと今は思う。「床で寝ても香りがいい。都会人は何かしていないと落ち着かないが、ボーッとする時があってもいい」。マン ションの1室を木の茶室にするなどの利用法も提唱する。
 とは言っても、木材の仕事は厳しいようで「茶室など数件はポンポンと注文があったが、製材所などがもうかるほどではない。山から直接届けられれば半値になる場合もあるのに」という状態だ。
 工房では昨年8月から月1回、「木創り塾」を開いている。建築関係者、木の家を考えている人などを対象に、京都・二村建築研究所の二村和幸代表を講師に吉野杉、ヒノキを使いこなす方法などを勉強。滝口さんの妻 幸子さん(42)の手料理が付き、参加費5000円。4月は20日の予定。
 忙しいのは、林業だけでなく地域活性化の活動も始めたためだ。村の谷尻地区にある小学校の分校跡を借り、宿泊研修施設にする計画を進める。
 運営する「森の月人」(岡本吉良理事長)は30日にNPO法人認証される見込みだ。仲間は20人。施設は4部屋と台所に畑もあり先日、一緒に整備した。夏の一部オープンを目指す。他でも活用できる廃校跡、古民家を 探しており、再生させ、都会人を呼び込んだ地域おこしをと構想はふくらむ。事務局長は滝口さん(050・5004・6194、ファクス兼用)。