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ID :  6680
公開日 :  2008年 3月11日
タイトル
[「木の城」破綻 地域への影響最小限に(
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新聞名
北海道新聞
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元URL.
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/80862.html
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写真:
 
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空知管内栗山町に本社を置く住宅メーカー「木の城たいせつ」が、札幌地裁に自己破産を申請した。  グループ会社を合わせた負債総額は約百十一億円に上る見込みだ。従業員五百六十六人も最終的に全員解雇する方針という。  企業倒産でしわ寄せを受けるのが弱い立場の従業員だ。家族に児童・生徒がいる場合の教育上の援助を含め、従業員への支援は欠かせない。  道は石狩、空知両支庁に特別労働相談室を設置し、ハローワークや関係市町村と連携しながら従業員の再就職を目指す。建材納入など取引先の企業にも低利融資を適用する。  今後も、地域への悪影響を最小限に抑えるため、必要な手だてを取ってほしい。  特に、本社と工場のある栗山町の打撃は大きい。地元から「規模を縮小しても操業を再開できないか」との声が出ているが、当然だろう。従業員が新会社をつくる動きもあるようだ。操業再開の動きに期待したい。  現在、同社が受注し建設中の住宅は約八十戸に上る。増改築中の工事もある。注文した人に住宅メーカーの経営破綻(はたん)は寝耳に水だ。対策は管財人や裁判所が協議して決めるというが、適切な救済策を求めた い。  「木の城たいせつ」は屋根の上で雪を溶かす構造の「無落雪住宅」や耐久性が売り物の寒冷地向け住宅を相次いで開発した。冬期間も施工する通年施工も特徴だった。  しかし、若い世代にも受け入れられる新タイプの住宅開発よりも、得意とする木造三階建て住宅にこだわり、市場の変化に対応できなかった。  景気低迷による住宅需要の急減への対処も遅れた。ピーク時に年間九百戸あった販売戸数は本年度は三百戸を下回る見込みだ。  カリスマ経営者として知られた山口昭社長は自ら「経営者としての頭が固く、時代の流れをとらえることができなかった」と反省する。  どんな企業も設立から数十年もたつと、経営者の考え方や組織が硬直化して、業績悪化を招きがちだ。企業経営者には心すべき教訓だ。  建築確認を厳格化した昨年六月の改正建築基準法の施行も、経営悪化に追い打ちをかけた。審査の厳格化は三階建て以上が対象となり、建築確認にかかる日数が大幅に延びた。  昨年の道内住宅着工件数は景気低迷に建築基準法改正が加わり、一九六六年以降で最低に落ち込んでいる。  購入する側には審査の厳格化は当然のことだが、これが住宅販売を停滞させ、企業倒産を招くようでは国土交通省の責任は免れ得ない。  確認申請の手続きの円滑化、中小業者への技術支援など、自ら招いた「政策不況」への取り組みを急ぐべきだ。