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ID :  6581
公開日 :  2008年 3月 4日
タイトル
[松くい虫被害木のチップ化事業に本腰 県、08年度
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新聞名
岩手日報
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元URL.
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080304_3
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元urltop:
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写真:
 
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 県は2008年度、松くい虫被害木のチップ化事業に本腰を入れる。チップ化が可能な木材量や経費を調査、森林組合やチップ工場などと連携したシステム確立に取り組む。本県の被害量は全国で3番目の多 さだが、被害木はこれまで駆除作業後、放置されたままだった。中国の需要増などでチップ材は不足傾向にあり、未利用資源の活用を図る。

 県内の被害地域である紫波町、花巻市、遠野市、大船渡市の4市町10カ所でチップ化が可能な条件整理や収益性を検証。市町村、森林組合、チップ工場と連携し、システムづくりを進める。

 県は本年度から2カ年計画で被害木に加え、虫の繁殖源になる雪折れ木や手入れの悪い林に発生する被圧木などの「潜在被害木」も除去し、防除に努めている。

 これまでは運搬費がかさむため、薫蒸後の被害木は森林に放置されたままだったが、防除対象木の範囲が広がったことで一定の伐採量が見込め、被害木の有効活用で採算面の検討に乗り出す。

 被害木のチップ化は製紙利用などを想定。日本製紙連合会によると、国内の製紙用木材は7割が輸入、3割が国産。最近の3年は中国の需要増などで輸入材の価格が上昇、国産材比率は下げ止まっている。

 改正建築基準法施行による住宅着工数の伸び悩みでチップの原料となる廃材が減少していることもあり、松くい虫被害木を含む未利用資源の活用が注目されている。

 被害木は駆除作業を完了した後に利用する。被害から一夏を越した程度であれば、繊維の破壊が進んでいないためチップ化が可能という。

 日本製紙木材盛岡営業所の國分貞夫所長は「チップ材は国産材に目を向けられる流れにあり、被害木活用に追い風が吹いている」とした上で「流通を軌道に乗せるためには製紙用のほか燃料用、土木用など、複数 の市場を考える必要がある」と指摘する。

 県森林整備課によると、県内の松くい虫被害量は2000年度から急激に増加し03年度は5万4071立方メートルでピーク。2年間は減少したが、06年度は3万9808立方メートルで横ばい。都道府県別では福島、 長野に続き3番目に多い。

 同課の藤川敏彦整備担当課長は「チップ化しなければならないほどの被害量が出ないことが一番だが、チップ化は現状を踏まえた対策の一つ。さらなる効果的な対策も考えたい」としている。