ID :
5732
公開日 :
2007年 12月12日
タイトル
[大阪市、住宅密集地の改築に耐火義務防災対策を強化へ
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新聞名
日経ネット関西版
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元URL.
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news001514.html
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元urltop:
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写真:
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大阪市はJR大阪環状線の外周部を中心とした住宅密集地を重点対策地区と位置付け、防災・耐震対策の強化に乗り出す。住宅建て替えの際、耐火・準耐火構造の建築物にすることを義務づけるほか、従来
、建て替えできなかった幅4メートル未満の狭い道路沿いでも建て替えを可能にする方針。同市は古い木造住宅の割合が全国の政令市で最も大きく、大地震発生時に深刻な被害が想定されていることから、被害抑制に向け
対策を急ぐ。
市は10月に有識者らで構成する「密集住宅市街地整備の戦略策定委員会」を設置。対策の拡充を検討してきた。今月17日に開く委員会で、最終案をまとめ、今年度中に計画を正式決定する。
市が11日までにまとめた計画案では、住宅の耐火性向上や老朽住宅の建て替え促進で新たな対策を打ち出している。
対象地域は東成区や生野区、阿倍野区、西成区などJR大阪環状線の外側を中心とした計約1300ヘクタール。戦災を免れ、耐震基準を満たしていない老朽住宅が狭い路地に数多く分布する。このエリアを市は「特に優先的
な取り組みが必要な密集住宅市街地」と定めた。
具体的には、市が防火条例を改正し、すべての新築・改築住宅を火災が延焼しにくい耐火構造か準耐火構造にすることを義務づける。
現在は建ぺい率(土地に対する建物の敷地面積の割合)が60%以下の場合は一般の木造住宅を建築できる。条例改正によって鉄筋・鉄骨の耐火建築物か、木造の場合でも木材の表面を石こうボードで覆うなどして準
耐火構造にするよう求める。
大阪市は17日に最終案をまとめる(大阪市生野区)
一方、建て替えが進まない狭い道路沿いの住宅は、規制緩和によって建て替えを促す。幅4メートル未満の路地に接する敷地で住宅を建て替える場合、敷地を後退させて幅4メートルの道路を確保することが建築基準法で
義務づけられているが、道路沿いの複数の地権者が一斉に道路用地を提供することは現実には困難。
大阪市は独自の裁量で法を柔軟に運用し、幅2.7メートル程度の道を確保すれば住宅建て替えを認めるようにする。
このほか、建て替えの見込みのない老朽住宅は更地にすることを奨励。防災拠点となる広場や道路用地の提供も市民に求めていく。
総務省によると、新耐震基準ができた1981年より前に建てられた木造住宅の密集度(1平方キロメートル当たり戸数)は大阪市が全国の市町村で最も高い。
市は直下型の上町断層帯地震が起こった場合、死者8500人、建物の全半壊27万棟(市内全域の建物棟数の55%)と推定。被害の大半は住宅密集地で起こる可能性が高く、防災対策が急務となっている。