ID :
5301
公開日 :
2007年 11月 9日
タイトル
[高齢者の住宅投資を考える―孫への支援はあるか
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新聞名
新建ハウジング
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元URL.
http://blog1.s-housing.jp/article/65569057.html
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写真:
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2月以降、持家の新設着工が前年割れを続けていたところに、6月に基準法改正が強行され、3カ月連続で新設着工は激減した。持家はまだましなほうだが、2007年、前年比増の受注を達成できる工務店は
少数派だろう。
基準法以外に持家市場が冷え込んでいる影響を考えてみると、地方経済の疲弊や団塊ジュニア層の青田買い、コスト高による住宅取得比上昇、なにより分譲へのスライドなどがぱっと思いつくが、最近なんとなく思って
いるのは、団塊世代をはじめとする高齢者層の動きのにぶさも少し要因としてあるのではないか、ということだ。
データがないので肌感覚の話になるが、ヒアリングなどをしても、思ったほど団塊世代に動きはないという声を聞く。唯一動きを聞くのは、沖縄などグッドロケーションエリアへの移住需要ぐらいだ。
さらに仮説レベルで言えば、団塊世代をはじめとする高齢者層の動きが鈍いのは、将来不安の高まり、もっとずばり言えば「年金問題」のせいではないか、と思ったりする。
消えた年金問題や社会保険庁のどうしようもなさが報道されたことによって、高齢者の将来不安はぐんと高まり、おんぶお化けのように背中に乗ったままになっている。
このお化けを退治しなければ1500兆円とも言われる個人資産(大半は高齢者が持っている)は動かないだろうし、消費大好きと言われる団塊世代の一部もなかなか建て替えやリフォーム、住み替えには動けないだろう
。
ただし、こうしたマインド的な問題以外にも、住宅産業としても、より豊かで楽しい生活を望む高齢者のための商品、もしくはとにかく最低限の投資で安心して暮らしたい高齢者のための商品(あえて商品と呼ぶ)について
、まだまだ開発の努力が必要なように思う。
あと、団塊世代は親からの相続、ポストジュニア世代は祖父・祖母からの援助という高齢者の資産に頼った住宅投資が起きるかどうかもポイントになる。
「親がかり」じゃないと若年層は家が持てない、などと言われるが、「祖父・祖母がかり」というのも少し出てくるかもしれない(25歳で子をつくり、その子が27歳で子をつくったとすると、80歳で28歳の住宅購入期に入っ
た孫がいる計算になる)。
高齢者の財布がもっとも緩むのは「孫」であることはまちがいない。まちがなく、それをうながすことも可能なのだろうが、これをマーケティングのネタにするのはちょっと複雑な感じがする(結局、段階的に相続されるの
だけれど)。