同会のメンバー5人が10月上旬から、同市大船渡町の公民館の敷地で作業に着手。特産の気仙スギを使い、約8メートルの船体で独特の反りのある和船を丁寧に仕上げている。全部で8隻を完成させ、今月半ばに はロケ地の沖縄県に運ばれるという。
映画は江戸時代の漁村が舞台。制作会社が全国の船大工を調べ上げ、大型の千石船などの建造経験があり、国内最高の技術を誇る気仙の船大工集団に要請した。
風や潮に流されにくい安定性が木造船の良さ。しかし、最近は耐久性の高い繊維強化プラスチック(FRP)製が主流となり、かつて100人近い船大工がいた気仙地方でも現在は10人ほどに減少した。木造船をつく る光景は珍しく、船大工らは「職人魂」を呼び起こしながら、黙々と作業に励んでいる。
同会の村上央さん(65)=陸前高田市広田町=は「全国から選ばれて、船を造ることができてうれしい」と話し、「後継者が出てくれれば最高なんだが」と汗をぬぐいながら、技術の継承を訴える。