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ID :  5023
公開日 :  2007年 10月17日
タイトル
[改正建築基準法施行 山陰両県、住宅着工が半減
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新聞名
山陰中央新報
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元URL.
http://www.sanin-chuo.co.jp/sumai/modules/news/article.php?storyid=444434045
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元urltop:
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写真:
 
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マンションの耐震偽装事件を受け、6月に施行された改正建築基準法の影響で、建築確認が滞り、7、8月の山陰両県の住宅着工件数が激減したことが分かった。審査の厳格化に加え、移行期間が短く、建築 業者側も法改正への対応が間に合わなかったのが原因。着工の遅れで、資金繰りに苦しむ零細業者からは悲鳴が聞こえるが、審査を緩めるわけにもいかず、関係者は頭を悩ましている。
 「建築確認が下りず、着工できない」。島根県建築住宅課が9日、松江市内で開いた意見交換会で、建築業界からは窮状を訴える声が相次いだ。
 それだけ、6月20日施行の建築基準法改正は、業界に「激震」を走らせた。7月の住宅着工は、島根県が前年同月比50・3%減の163戸、鳥取県も同43・9%減の272戸。8月も引き続き低迷し、その衝撃度を如実に物 語った。
▽添付書類は2倍に  背景には、強度を厳しく点検する「構造計算適合性判定制度」の導入がある。鉄骨造4階建て以上の建築物などが対象で、業者から建築確認申請を受けた県や市には、審査機関の判断を仰ぐことが義務づけられた。
 加えて、資材や図面もより詳細なものが必要になり、提出する添付書類は従来の2倍以上に。また、提出後の修正を原則認めず、不備があれば、全書類の再提出が求められるようになった。
 この結果、建築確認に要する期間は、これまでの約3週間から約5週間に。再提出となった場合、10週間程度かかるケースもあるという。
 松江市建築指導課の小松義昌課長は、国土交通省から審査方法や記載事項などを定めた指針が出たのが改正法の施行直前で、「申請者(建築業者)は何を書いていいか、分からなかった。市も解釈に時間がかかった」 と混乱ぶりを振り返る。
 申請から建築確認が下りるまでの“間延び”は、必然的に着工の遅れに直結。島根県東部の地場工務店の経営者は「申請から着工まで2、3週間を見込んでいたが、(法改正後は)最低1カ月は覚悟している」と戸惑う。
 しかも、改正法では小型建築物や、新築だけでなく、増改築の確認作業も厳格化された。着工できないと当然、代金は受け取れず、「小規模工務店ほど、資金繰りへの影響が大きい」と続けた。
▽「高い安全性提供」  ただ、法改正の趣旨は、偽装防止と、建築業界に対する不信の解消にあるだけに、島根県建築住宅課の波多野修課長は「行政側の責任も問われている。審査は厳しくせざるを得ない」と強調。
 松江市の小松課長も「申請者には多大な負担をかけているが、逆に言えば、建築主により高い安全を提供できる」と法改正の意義を説く。
 とはいえ、全国的に着工戸数が減少し、建築業界の経営を圧迫しているのも事実。地域経済への打撃も懸念されており、国交省や県は業者を集めた説明会の開催や、確認申請前の業者からの相談に丁寧に応じるなど 、対策に乗り出している。
 政府系金融機関も、融資限度の引き上げや債務返済の猶予期間延長などを実施済み。さらに、冬柴鉄三国交相は16日の記者会見で、中小の建築業者に対する民間金融機関の融資が滞ったり、繰り延べ返済の際に不 利な扱いをしたりしないよう、金融庁を通じて、全国銀行協会などに配慮を要請すると発表した。