ID :
5013
公開日 :
2007年 10月17日
タイトル
[保存樹林32年ぶり指定 緑地喪失に危機感 仙台市提案へ
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新聞名
河北新報
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元URL.
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/10/20071017t13037.htm
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写真:
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仙台市は16日までに、太白区の元農家の屋敷林など2件を市の保存樹林の指定候補とすることを決めた。保存樹林の指定は、1975年の制度創設時に7件を決めて以来、32年ぶり。市街地に近接する屋敷
林は、マンション開発などで減少の一途をたどっており、市は「杜の都の原風景である屋敷林の保護に弾みがつけば」と期待している。
新たに指定を受けるのは、太白区大野田のユースホステル「道中庵」の屋敷林(約530平方メートル)と、青葉区上愛子の半導体テスト装置製造「アドバンテスト研究所」のアカマツ林(約6690平方メートル)。
住宅地にある道中庵の屋敷林は、ケヤキやシラカシ、竹など約1100本が植えてあり居久根(いぐね)として維持管理されてきた。林の中に立つ古民家風の建物と相まって、宮城の伝統的な郷土風景を織りなしている。
アドバンテスト研究所のアカマツ林は、旧仙台営林署の育苗事業所跡地にある。樹齢90―110年、高さ約30メートルの南部アカマツ約80本が、美しい樹林景観をつくる。
市の保存樹林は、青葉通(青葉区)のケヤキ並木など7件が対象となった1回目の指定以降、新たな指定がなかった。7件中、民有地の保存樹林は、広瀬町(同)のマンション敷地にあるシラカシの生け垣1件。
市は、宅地開発などで消失する市街地近郊の緑地を守ろうと、2001年に屋敷林の調査を実施。所有者への説明会を開くなど、固定資産税減免などの制度の利点PRとともに、保存樹林の候補地を探してきた。
道中庵の板橋誠社長(68)は「管理に多額の費用がかかったり、落ち葉が近隣住民に迷惑がられたりして苦労も多いが、屋敷林の価値を認めてもらいありがたい」と話す。
保存樹林の指定は今月末に開かれる市の審議会での了承を経て、正式に決定する。
[仙台市の保存樹林制度]市街化区域などにあり、並木の延長が100メートル以上であることなどが指定条件。所有者が管理し、樹木を切ったり建物を建てたりする際には市への届け出が必要になる。指定範囲の固定資
産税と都市計画税が免除される。同市の緑地保全制度には、ほかに「保存緑地」「保存樹木」などがある。