ID 2156
登録日
2006年 11月27日
タイトル
東京都のシンボルマークはイチョウではなかった
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新聞名
エキサイト
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元URL.
http://excite.co.jp/News/bit/00091164589710.html
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元urltop:
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写真:
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今年の紅葉は例年より遅め。もうしばらくの間は各地で紅葉が楽しめそう。
紅葉といえばカエデやモミジが筆頭に上げられるがイチョウの黄葉もまた美しいもの。
イチョウは東京都民にとっては東京の木でもありことさら親しみがある。
今はなくなってしまった東京都の清掃車にもイチョウのマークが描かれていた。
ところで、現在の東京都のシンボルマーク、これは何をかたどっているかご存知でしょうか?
私は清掃車のイチョウマークの印象が強かったせいか、てっきり東京都の木、イチョウをデザインしたものかと思っていたのだが実はこれ、違うようなのだ。
東京都のHPを見てみると、シンボルマークの説明にはイチョウのイの字も出てこない。
書いていないということはイチョウとは関係ないのだろうが、ここはやはりきちんと聞いて確認したい、と東京都に問い合わせてみた。
「イチョウではありません。このマークは東京都の頭文字であるTをデザインしたものです」ときっぱり。やはり、イチョウではないのか。でも、清掃車には昔イチョウのマークが描かれていたけれど……。あれは何だった
のか?
そこで、さらに詳しく調べてみることにした。
東京都の木がイチョウに選ばれたのは昭和41(1966)年。
これは首都の美化対策の一環でみどりの東京を実現しようということで、東京の木を選定することになったのだという。
木の選定にあたっては「東京の木選定委員会」を設け、まず委員会で三種の候補の木 (ケヤキ、イチョウ、ソメイヨシノ) を決め、その後この三種類で都民のハガキによる一般投票を行ったのだそうだ。
投票の結果、イチョウが7,919(49%)、ケヤキが5,153(32%)、そしてソメイヨシノが3,032(19%)の獲得票で都民の人気が一番高かったイチョウに決定。実は東京の木選定委員会の一番人気はケヤキだったそうで、もし
一般投票をしていなかったら東京都の木がケヤキになっていたかもしれない、というのはおもしろい。
そして、この東京都の木はもともと美化対策の一環というところからスタートしていたため、昭和43(1968)年に清掃業務のイメージアップのために車のアイドルマークとしてイチョウを使うようになったのだそうだ。
この頃、東京都のシンボルマークとして使われていたのは明治22(1889)年12月の東京市時代から使っていた太陽と光をイメージした二重丸に6本の棒が突き出ているもの。
そして現在のシンボルマークが平成元(1989)年6月1日に制定される。デザインは藤井功氏によるもので、候補作品20点の中から選ばれた。
さらにしつこくシンボルマークの担当部署である文化振興部に詳しくデザインについて聞いてみた。
「色もグリーンでイチョウに似ているので、イチョウも秘めてデザインされたのかもしれませんが……、でも東京都の頭文字のTをかたどっているということです。三つの同じ円弧で構成されていますが、三つの円は躍
動、繁栄、潤いを表現しています」
う~ん、こういう話を聞くと都のマークをイチョウと言ってしまうのは全くの間違いではない気もしてくる。
一方、清掃車のイチョウマークが消えてしまった理由だが、これには地方分権の時代の流れがあった。
東京都の清掃事業は平成12(2000)年4月1日から清掃事業が東京都から各区へ移管。
東京都清掃局が無くなったと同時に清掃車のイチョウマークも各区のシンボルマークに変わってしまったというわけ。
そんなこんなで東京都のTをかたどったシンボルマークと清掃車のイチョウマークが10年以上混在していたので、誤解をしている人も多いのかもしれない。
ちなみに、明治時代から使っている東京都の紋章はマンホールの蓋や地下鉄の案内などまだ一部に使用されている。
東京都によると、紋章とシンボルマークの使い分けはちゃんとあって紋章がつけられるものは三つの大別できるのだそうで
1.歴史的保存物で芸術性が高いもの、保存すべきもの
2.歴史、伝統を表現する必要があるもの
3.在庫、耐用年数、使用状況を勘案して、尚いっそう一定期間使用する必要があるもの
とのことだった。
私はこの東京都の紋章もマンホールなどでよく見かけるのでてっきり水道局のマークだと勘違いしていた。
東京都水道局に確認すると、「水道局としてのマークはありません。シンボルマークは東京都と同じイチョウのマークです」とのこと。
ああっこれですっきり。それにしても水道局の人も東京都のシンボルマークをイチョウのマークと言ってしまうとは(苦笑)。
まっあえて声高に「T」です、と主張する必要もないのかもしれませんね。今年の都内のイチョウの黄葉の見ごろは12月上旬、首都の自然も捨てたものではありません。
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