ID 20
登録日
2006年 1月11日
タイトル
復興のシンボル"危機 桜、枯死寸前 六甲道駅南地区
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新聞名
神戸新聞
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元URL.
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00046346sg200602041000.shtml
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元urltop:
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写真:
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阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市灘区のJR六甲道駅南地区で、震災翌年、仮設郵便局の基礎部分のすき間から力強く伸びているのが見つかり、住民を勇気づけた一本のサクラが病魔に侵され
、枯死の危機に直面している。診断では生存率はわずか1%。サクラは震災から五年後に花をつけ、昨年、完成した防災公園の一角に移植された“復興のシンボル”。きょうも木の周りには住民らが集い、奇跡を願う。「ど
うかもう一度、花を咲かせて」と。(中島摩子)
震災二年目、地元に住むグリーンアドバイザー前田和子さん(57)=同区友田町一=らが、仮設の神戸桜口郵便局の基礎ブロックのすき間から伸びるサクラを見つけた。
「周囲はがれきの山。そんな中で、サクラにたくましい生命力を感じ、心の支えだった。近くではたくさんの人が亡くなり、木に犠牲者の魂が宿っているように思えた」
桜口町という地名から「桜口の桜」として親しまれ、住民らは毎日、水やりをするなどして成長を見守った。再開発事業のため工事が決まったときは、住民らが市に掛け合い、伐採を免れた。サクラはいったん別の場所
に移され、その後に防災公園に植えられた。
しかし昨年夏、根の周りが不自然に盛り上がっているのが見つかり、葉も次々に落ちた。同市中央区の樹木医、中井堅さん(54)が診断した結果、根部にこぶができ、水分や養分の吸収が疎外される「根頭がん腫」と分
かった。接ぎ木や挿し木で“子孫”を残すことも考えたが、木に活力がないため実現は不可能とされた。中井さんは「今のところ、根部分の寒さ防止ぐらいの処置しか考えられない」と嘆く。
六甲道駅南地区は一九九七年に復興市街地再開発事業に着工し、昨年九月にようやく完了したばかり。住民らは「サクラは六甲道の再開発をずっと見守ってきた。これからという時なのに…」と肩を落とすが、希望が全く
ないわけではない。
中井さんによると「地上部はほとんど枯れているが、根の一部が生きている」といい、「根から『ひこばえ』が出てくれれば」と期待を寄せる。間もなく、十一回目の「あの日」が巡ってくる。前田さんはそっと枝に触れた。「
みんなの思いが届きますように」
「ひん死の状態からどうか生き返って」。復興を見続けたサクラを囲む住民ら=神戸市灘区、六甲道南公園(撮影・宮井和弘) 阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市灘区のJR六甲道駅南地区で、震災翌年、仮設
郵便局の基礎部分のすき間から力強く伸びているのが見つかり、住民を勇気づけた一本のサクラが病魔に侵され、枯死の危機に直面している。診断では生存率はわずか1%。サクラは震災から五年後に花をつけ、昨年 、完成した防災公園の一角に移植された“復興のシンボル”。きょうも木の周りには住民らが集い、奇跡を願う。「どうかもう一度、花を咲かせて」と。(中島摩子)
震災二年目、地元に住むグリーンアドバイザー前田和子さん(57)=同区友田町一=らが、仮設の神戸桜口郵便局の基礎ブロックのすき間から伸びるサクラを見つけた。
「周囲はがれきの山。そんな中で、サクラにたくましい生命力を感じ、心の支えだった。近くではたくさんの人が亡くなり、木に犠牲者の魂が宿っているように思えた」
桜口町という地名から「桜口の桜」として親しまれ、住民らは毎日、水やりをするなどして成長を見守った。再開発事業のため工事が決まったときは、住民らが市に掛け合い、伐採を免れた。サクラはいったん別の場所
に移され、その後に防災公園に植えられた。
しかし昨年夏、根の周りが不自然に盛り上がっているのが見つかり、葉も次々に落ちた。同市中央区の樹木医、中井堅さん(54)が診断した結果、根部にこぶができ、水分や養分の吸収が疎外される「根頭がん腫」と分
かった。接ぎ木や挿し木で“子孫”を残すことも考えたが、木に活力がないため実現は不可能とされた。中井さんは「今のところ、根部分の寒さ防止ぐらいの処置しか考えられない」と嘆く。
六甲道駅南地区は一九九七年に復興市街地再開発事業に着工し、昨年九月にようやく完了したばかり。住民らは「サクラは六甲道の再開発をずっと見守ってきた。これからという時なのに…」と肩を落とすが、希望が全く
ないわけではない。
中井さんによると「地上部はほとんど枯れているが、根の一部が生きている」といい、「根から『ひこばえ』が出てくれれば」と期待を寄せる。間もなく、十一回目の「あの日」が巡ってくる。前田さんはそっと枝に触れた。「
みんなの思いが届きますように」
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