ID 1835
登録日
2006年 10月12日
タイトル
緑のキャンパスが育む「心の社」 SFC生態環境を見つめて
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新聞名
慶応塾生新聞
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元URL.
http://www.jukushin.com/article.cgi?k-20061007
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元urltop:
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写真:
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湘南台からバスに乗って大型ショッピングセンターを過ぎると、田園風景が広がる。周りには人家が点々とするだけで、学生向けの店などは無い。SFCにはこの立地に不満を言う学生が少なくない。
しかし、校舎の周りではオオタカが空を舞い、セミの鳴き声が夏の風流をかもしだす。このように、多様な生物が暮らしている環境の中で、学生が暮らすことはどのような意義があるのか。SFC周辺の環境について、総
合政策学部の大澤啓志先生にお話を伺った。
SFCが建設される以前、現在のガリバー池(鴨池)の周辺は谷になっており、その地形をうまく利用して谷に水を溜めて池が完成した。大地の凸凹を活かしたこの水面には、今では鴨が悠々と泳いでおり、SFCのシンボ
ルともいえる存在になっている。また、池の周りに生えている芝生の上で、寝転がりながら談笑し、休憩をしている学生を見かける。ここは学生たちにとって憩いの場となっているのだ。
また、校舎の周りを多くの緑で囲み、心理的効果を生み出す作用も見られるという。これらの木々には、従来から根付いていた木をそのまま残している場所と、SFCを建てる際に様々な種類の木を新たに植えた場所が
ある。昔からの場所は、土壌の質が良く、土壌生物も非常に多い。歩くと足が土に埋まってしまうほどだ。一方、人為的に木が植えられた森は、まだ土壌の状態は良くないという。長い年月をかけて、もっと多くの落ち葉と生
き物たちの働きかけが続けば、ここでも土壌の質は高まるそうだ。そうなることで土壌の肥沃な森で見られるカブトムシなども、子孫を残せるようになるのである。
これらの自然に囲まれた環境を設計したことで、「SFC生は、自分たちが森の中で勉強をしているという意識を持っている」と、先生は言う。豊かな自然環境の中で勉学に励むことができるのがSFCの特徴であり、他で
はできない非常に貴重な体験である。心に自分たちの杜を宿すことができるSFC生は、真に贅沢な学生と言えるのではないだろうか。
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