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ID 15795
登録日   2010年 4月19日
タイトル
迷えるはげ山 植林したいが 採算合わない
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2010041902000095.html
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元urltop:
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写真:
 
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伐採されたまま植林されない人工林が全国的に問題になっている。木材価格低迷で、再植林をためらう山の所有者が多いためだ。現状を打開しようと、林野庁が進める施策の一つが、人工林を広葉樹の森に 変えていく「天然更新」。放置されたはげ山は、狙い通り森に生まれ変われるだろうか。 (市川真)  直径五十センチを超す大きな切り株が斜面に連なり、墓標が立ち並ぶ巨大墓地に見えた。美林で有名な三重県熊野市。二年前、約八ヘクタールの山林がすべて切られ、はげ山に。そのまま植林はされず、急斜面では土 が流れ出している。山の所有者は「植林には金がかかるから、どうするか迷っている」と言葉少なだ。
 この山のさらに奥地には、一カ所としては同県最大となる十二ヘクタールのはげ山も。和歌山県内の木材会社が四年前に伐採し、そのまま放置。現在は林道も崩壊し、近づくのも容易でない。「植林したいのはやまやま だが、あの奥地では採算が合わない。何年かしたら、自然に樹木が生えてくるのでは」。人ごとのように話す同社の社長は「所有者から山ごと買ってくれと依頼された。うちとしても欲しい材があったので…」と言葉を濁す 。
     ◇  三重県南部では、樹木を残らず伐採する皆伐が今も一般的。土砂流出の恐れがあるなど環境への影響が大きく、林野庁などは一部の木を残す伐採方法を勧めているものの、同社長は「採算のためには皆伐せざるを得 ない」と譲らない。
 一帯は険しく、林道整備が遅れている地域。丸太運搬用の簡易リフト設置費用を回収するには、採算が取れる皆伐が必要との主張だ。近年ではシカの食害も拡大。苗を植えて約十年間は、侵入防止ネットで囲う必要が あることも、植林をためらわせる理由だ。今年三月の木材価格は、最も高かった一九八〇年に比べ、スギ、ヒノキとも三割弱まで下落。補助金を得て植林しても、将来回収できる見込みが立たないことが山の所有者の意 欲減退を招いている。
 世代交代で、山への関心が薄れたという指摘も。同市の紀南森林組合参事、前貞憲さんは十年ほど前から「山をこうてくれる人おらんか」という声を、山の所有者からよく聞くようになった。自分の山がどこにあるのか知 らない息子世代も多い。「固定資産税もかかるし、処分した方がスッキリするという感覚。山への愛着は全くない」と前さんは嘆く。
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。