ID 1401
登録日
2006年 7月29日
タイトル
“絞め殺し植物”などの着生で西表の代表的樹木に樹勢の衰え
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新聞名
八重山毎日オンライン
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元URL.
http://www.y-mainichi.co.jp/article.php?id=5436
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元urltop:
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写真:
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仲間川中流に生えるサキシマスオウノキや、同じ種としては自生地の北限となる船浦のニッパヤシ、直径1メートルを超えるオヒルギなど西表島の森を代表する木々で樹勢が衰えたり、ほかの植物の影響を
受けやすい状態になっていることが分かり、林野庁西表森林環境保全ふれあいセンターがモニタリング調査などを実施している。すでに対策を講じたケースもあり、その効果の検証などに関心が集まりそうだ。
同センターがモニタリングしているサキシマスオウノキは観光船などが立ち寄るポイントとして知られており、次世代に残すべき国有林野内の代表的な巨樹・巨木を林野庁が、選ぶ「森の巨人たち百選」のうちの1本。
同センターによると、このサキシマスオウノキは台風などの影響で枝に損傷があるほか、ほかの植物を締め付けて死に至らしめてしまう「絞め殺し植物」の一種、アコウが着生している。
このため、同センターは本年度からサキシマスオウノキの生育状況を1年ごとに測定するとともに、差し込んでくる光の状況、樹勢の変化、着生植物の状況を半年ごとに調べている。
ニッパヤシは、その群落が国指定の天然記念物にもなっているもので、同センターでは文化庁側と協議しながら樹勢の回復を図っている。環境省のレッドリストは、絶滅の危険が増大している「絶滅危ぐ2類」に分類して
いる。
同センターによると、このニッパヤシは、周辺に生育するオヒルギなどの成長によって、日光を遮られるようになっており、群落の衰退が危ぐされる状況にあった。
このため、沖縄森林管理署が2003年度に実施した船浦ニッパヤシ植物群落保護林保護管理対策調査に基づき、昨年3月に周辺のオヒルギなどを伐採。
伐採は、ニッパヤシの生育環境が急変するのを避けるために2度に分けて行う計画で、同センターは今後、文化庁との協議がまとまるのを待って、年度内に2度目の伐採を行う意向。
伐採前の状況と、最初の伐採から1年後の状況を比べたところ、葉数では7%、葉の高さでは3%の増加がみられた。
これについて、同センターでは「光環境が改善された。樹勢は回復傾向にあると考えられる」とする一方、梅雨や台風による雨で流れ込む土砂が、一部の株の生育に影響を与えていることにも留意する考えを示し、モニ
タリングを継続することにしている。
オヒルギは浦内川支柱のウタラ川上流の川沿いに生育している1本がモニタリングの対象で、「森の巨人たち百選」に選ばれているもの。
樹勢を回復させるための措置としては、木製の支柱で枝を支える措置を実施。オキナワアナジャコによって集積した土砂のため、満潮時でもオヒルギの根が水に浸からない状態になっていたことから、この土砂も除去し
た。朽ちてできた空洞が樹幹上部にまで達していることにも対策を取り、園芸用の土として使われるピートモスなどの自然素材で埋めた。
今後もモニタリングを続ける。
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