ID　14088

登録日　 　2009年 10月27日

タイトル

なるほドリ：「水源地の森」って何？　／奈良

新聞名

毎日新聞

元URL.

http://mainichi.jp/area/nara/news/20091028ddlk29070576000c.html

元urltop:

写真:

　

「水源地の森」って何？ 　◇伐採から守り、川上村が保有　村あげて「下流にきれいな水を」 　なるほドリ　川上村に「水源地の森」というところがあるって聞いたけど。
　記者　日本一の豪雨地帯である大台ケ原の北側に広がる吉野川（紀の川）の源流域で、村が保全のために保有している山林のことです。人が伐採したことがない原生林が大部分とみられ、かつて人の手が入ったところ も、長い歳月の間に元の森の姿に戻っています。
　Ｑ　以前から村の所有だったの？ 　Ａ　もとは民有林でしたが、伐採が迫ったため、「一度切ると二度と戻せない」と判断した村が、９９年度から０２年度までの間に約７４０ヘクタールを購入しました。費用は約１０億円。源流としての役割を果たそうと、９６ 年に「下流にきれいな水を流す」という「川上宣言」を発表し、「水源地のむらづくり」を進めている村ならではの決断でしょう。
　Ｑ　反響は？ 　Ａ　００年に、３８歳だったドイツ領事が村を訪れ、「人口２７００人の村がこんな取り組みをすることができるとは。ドイツでは考えられない」と驚いていました。彼は離日まで何度も村を訪れました。ドイツは環境先進国と されますが、過去には森林を荒廃させた苦い体験をしているのですね。
　Ｑ　ところで、「水源地の森」ってどんな森？ 　Ａ　標高は１０５０～４８０メートルで、動植物の種類も豊富です。樹木はモミやトガサワラ、ツガなどの常緑針葉樹を中心に、トチノキやカツラなどに高所ではブナが主役の落葉広葉樹が交じり、常緑広葉樹のカシ類も分 布し、全部で１４４種が確認されています。ブナやモミなど樹齢３００～４００年の巨樹も多くあります。このほか、草が１４３種、シダ８８種、コケ２２２種があります。動物はこれまで、ツキノワグマのつめ跡が見つかり、カモシ カやシカもいます。鳥ではクマタカやカワセミの仲間のアカショウビン、大型のヤマセミなどが生息しています。
　Ｑ　行ってみたいな。
　Ａ　保全が目的なので、立ち入りが禁止されています。しかし、管理する「森と水の源流館」が年３回、「水源地の森ツアー」を開き、その時はガイドの案内で入れます。次回は１１月１日で、定員は小学生以上２０人。参加 費は一般４０００円、小中高生２６００円。３１日午前まで、同館（０７４６・５２・０８８８）で申し込みを受け付けています。＜回答・栗栖健（奈良支局）＞