ID 13177
登録日 2009年 9月10日
タイトル
分収育林事業小海町で出資金割れ ほかに3カ所で元本割れ恐れ
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20090910/KT090909FTI090020000022.htm
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元urltop:
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写真:
イラストが説明として掲載されていました
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自治体や財産区が一般から募った出資金を元手に一定期間管理した森林を伐採し、販売代金を分配する「分収育林」事業で、南佐久郡小海町が出資金を割り込む元本割れを起こし、出資者に損害を与えて
いたことが9日、信濃毎日新聞の取材で分かった。流通経費の安い外材に押されて木材価格が大幅下落したのが原因で、県内の2町村、1財産区も将来、同様の事態に陥る恐れがあることが判明した。
林野庁が国民から出資金を募った「緑のオーナー」制度では、元本割れした出資者が損害賠償請求訴訟を起こす事態に発展。県内のケースでも出資者とのトラブルが発生する可能性もあり、当事者間の協議が避けら
れない情勢だ。
県林務部が把握している県内の分収育林事業8カ所のうち、一般から出資金を募ったのは5カ所。小海町は1979(昭和54)年に1口60万円で契約、今年5月に満了したが、出資者に返したのは出資金を大きく割り込
む27万円余だった。ただ、町は「当初契約通りだと18万円にしかならなかったが、町が9万円を上乗せして支払った。これまで交流事業を続けてきたこともあり、トラブルにはなっていない」と説明。出資者408人のうち
約150人は木材価格の値上がりを期待し、向こう10年間契約を更新した。
同部によると、カラマツ材の県内平均価格は80年に1立方メートル当たり2万5670円だったが、今年7月には同1万900円に下落。こうした状況を受け下伊那郡阿南町、根羽村、松本市の入山辺里山辺財産区も出資
者に損害が生じる可能性が出ている。いずれも80年代に契約し、2015~18年に満期を迎える。
入山辺里山辺財産区(管理者・菅谷昭松本市長)は51ヘクタールの森で、全国の出資者95人と1口60万円で契約し、15年が満期。市監査委員は昨年、緑のオーナー制度の問題を踏まえ、財産区に「契約期間満了の間
際になってトラブルが生じないよう、契約者全員に説明していく」ことを求めた。事務局の市入山辺出張所は「県などと協議し、木の価格を算定して契約者ときちんと話し合いたい」とする。
10ヘクタールの町有林でヒノキの分収育林事業を行う阿南町では、中京圏の94人が100万円ずつを出資しており、16年に契約を満了。町が今年5月、出資者に今後の対応を聞くために行ったアンケート調査によると
、「町が出資者の権利を買い戻す」「当初計画通り、木を切って売り上げを折半する」「木を切らず、将来木材価格が値上がりすることを期待して契約を更新する」といった案が出た。町は「木材価格の動向を見ながら木を
切るか切らないか、契約者と話し合っていきたい」とする。
根羽村は10ヘクタールの森で145人と1口60万円の契約を結んでおり、18年に満了する。
一方、23人と1口20万円で契約している同郡南相木村は、間伐の必要がなく出資金がほぼそのまま残っているため「出資金分を払えない事態は避けられる」。ただ、木を切ればその後に村が植林する必要があり新た
な経費がかかるため、「木を売らずに維持する選択肢も含め、出資者と協議したい」としている。
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