ID 12884
登録日 2009年 8月18日
タイトル
屋久杉が記憶する地球の歴史
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新聞名
nikkei BPnet
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元URL.
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/column/20090811/102013/
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元urltop:
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写真:
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多雨の島に生きる長寿の屋久杉
世界遺産に登録され、原生林が残る屋久島は、日本有数の多雨地帯である。年間降水量は4359mmと、東京(1467mm)の3倍近い雨が降る。年間を通じて雨が多いが、特に6月は1カ月間だけで約700mmと、単純計算
すると毎日20mm以上の雨が降っていることになる。
屋久島で雨が多いのは、九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)がそびえ立つためで、暖かく湿った空気が山にぶつかり、上昇するとともに雲が発生する。高気圧に広く覆われ、周囲の海上で青空が広がっていても、屋久
島だけは白い帽子をかぶったように雲がかかることが多い。
屋久島には屋久杉をはじめとする巨木が数多く残っているが、巨木が育つのは温暖多雨の気候によって木の成長が早いからではない。屋久島の土壌は栄養分が少ないため、むしろ屋久杉の成長は非常に遅く、ほかの
種類の杉と比べても樹齢のわりに大きくはない。ゆっくりと成長するため木目がぎっしり詰まっていること、さらには多雨に適応し、腐りにくい特徴を併せ持っていることから長寿となり、その結果として巨木になった。
通常、杉の寿命は数百年といわれるが、屋久島の杉は1000年を超えるものも多い。この屋久杉のような長寿の樹木は、地球環境を知るうえで貴重な存在である。
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