ID 12741
登録日 2009年 7月31日
タイトル
富士山再生キャンペーン:自然を取り戻そう 新たな取り組み次々と /静岡
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20090801ddlk22040011000c.html
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元urltop:
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写真:
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<日本は、もっといい国だ。>
富士山の本来の自然を取り戻そうとする活動が、盛んに行われている。ボランティアの「エコレンジャー」による登山者への指導や、シカによる食害対策など、新たな取り組みも始まっている。富士山の再生に向けた、
山ろくでの活動に焦点を当てた。【竹地広憲】
◇マナー啓発、情報提供--「エコレンジャー」が活躍
人気が高まる富士山の来訪者に対してマナーの啓発や情報提供をする「富士山エコレンジャー」が、年々数を増やして活動に励んでいる。
エコレンジャーの担い手は、富士山の自然保護などにかかわるボランティアなど413団体が入る「ふじさんネットワーク」の会員。役割は、▽ごみの持ち帰りなどを登山客に促す啓発活動▽富士山の自然や文化などの
解説▽貴重な動植物の保護や情報収集--の3本柱だ。
富士山地域で月1回以上、5合目より上で年4回以上歩き回り、これらの活動を実施する。富士山の自然環境や森林法などの基礎講習のほか、救命救急の実技講座などを計40時間以上受講する必要がある。要件を満
たせば「証明書」が交付される。
エコレンジャーは7年前から制度化されて活動を始めたが、活動の質を高めるために07年度から認定の仕組みを変えた。07年度は19人が認定され、今年度までに6人増えて25人が登録されている。これまでに、レ
ンジャーと触れ合った登山客から「悪天候で的確に指示されて良かった」との手紙が届くなど、取り組みに対する認知や評価が高まっているという。
22年度の募集は、この夏にも始まる。講座のみの参加希望者も受け付けることにしている。県自然保護室は「富士山に関心のある人はぜひ問い合わせてほしい」と話している。問い合わせは、富士宮市万野原新田の
富士山エコレンジャー連絡会事務局(0544・27・1566)。
◇シカの樹木食害深刻化 樹皮にテープ巻き--ボランティア団体が対策
富士山ろく一帯で、ニホンジカが増えたことによる樹木の食害が深刻化している。国有林を管理する静岡森林管理署が事務局になっている「富士山国有林森づくり連絡協議会」(仁藤浪会長)は、若木に麻のテープを巻
いて食害を食い止めるなど、対策を本格化させている。
静岡県側の富士山の山ろくでは、10年以上前から食害が確認されているが、同署によると、被害が目立つようになったのは、ここ3年ほど。同署は「林の2~3割に広がる」と推計している。特に国有林は、ほぼ全域が
鳥獣保護区に指定され、保護対象のシカの数が民営林の3倍程度まで増えたという。
被害は樹齢に関係ない。大きな木では柔らかな樹皮が、樹高の低い若木では幹や葉の部分が食べられ、やがては枯れてしまう。樹皮を食べられると、年輪が乱れて丸太の品質が落ちる。また、植樹した若木が育たなけ
れば、林の再生が妨げられる悪循環を招く。
こうした現状を深刻に受け止め、昨年11月以降、ボランティア団体らで組織する同協議会としては初めて、具体的な食害対策に乗り出した。
5月30日には約40人が集まり、富士市の国有林約3ヘクタールに植樹されたブナなどの若い広葉樹にテープを巻き、食べられにくくした。
静岡森林管理署は、ボランティアが管理する林以外でもシカの侵入を防ぐフェンスの設置などを進めているものの、決め手となる対策は手探りが続いている。同署は「協議会で食害対策の情報を共有し、今後も同様
の対策を進める。また、シカの数そのものを減らすよう、鳥獣保護の権限を持つ県に働きかけたい」と話している。
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