ID　11614

登録日　2009年 5月　9日

タイトル

今年もブルーベルの季節＠イギリス

新聞名

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日本人にとって、桜が春を実感させるのに欠かせない花であるように、Bluebell ブルーベルはイギリス人にとって春を象徴する花です。ブルーベルはヒヤシンスやシラーの仲間のユリ科の球根植物で、どちらかと言うと日陰を好み、木陰などに自生します。繁殖力旺盛で、どんどん株割れして増殖し ます。庭花としても人気ですが、森の中で、野生のブルーベルが青紫色の絨毯のように群生して咲く様子は圧巻です。
今年のブルーベルの”花見”は、いつものリースヒルではなく、サリー州の「Winkworth ウィンクワース」に行ってみることにしました。行く途中も、あちこちの林の中でブルーベルが群生しているのを見掛けました。
ウィンクワースは、1937年にウィルフレッド・フォックス博士によって購入、築かれた、丘陵地帯の中の46ヘクタールの森林です。その後1952年にナショナルトラストに寄付されました。寄って地形は天然のもの、ブルー ベルも野生が繁殖したものだと思いますが、北アメリカ、ノルウェーのカエデ、日本のモミジやツツジなど、イギリスの古来種ではない植物も沢山植えられています。半分自然の森、半分植物園といった趣です。
いよいよブルーベルの絨毯です。ここは定期的に伐採を進めているので、天然のイギリスの森に比べると、かなり明るいようです。
これがブルーベルの花。シラーの背を高くした感じです。ヒヤシンスほど強烈ではないものの似た香りがあり、これだけ群生していると、さすがに辺り一面甘く香ります。
モミジは本当に沢山植えられていました。やはり紅葉の時期が最高でしょうが、若葉のモミジも繊細で美しいものです。今でもイギリスでは庭木として大人気です。
イギリスを代表する野草ブルーベルが、モミジの木の下に群生する様子。天然の森では見られない、ちょっと不思議な光景です。
ウィンクワースは結構急な谷間です。斜面もブルーベルがびっしりです。奥の奥まで青紫色が続いているのが、お分かり頂けますでしょうか。
谷間の底は、Badgers Bowl バッジャーズ・ボウルと呼ばれるピクニックに最適な野原になっています。ちなみにバッジャーはイタチに似た野生動物です。
谷底には湿地と湖もあります。かつては両方とも湖でした。
湿地には小川が流れ、所々こんな橋が架かっています。一見木製ですが、実はこれ、ペットボトルのリサイクルだそうです。キャス＆テスコ・コラボ・エコバッグやユニクロのフリースだけじゃないんですね（笑）。木より耐久 性はあるし、見た目も悪くありません。
中央に見えるのは元ボート小屋です。今は資料室兼休憩室兼展望台になっています。
お目当てのブルーベルの次に人気だったのが、この「Azalea Steps ツツジの階段」です。まるで日本のツツジ園ですが、イギリスでは珍しい形式なのだそうです。
微妙に様々な色の違いがあり、陽に透けた花びらが繊細で、ツツジがこんなに美しいとは気付きませんでした。花に大して興味のないP太も、すっかり魅了された様子。
モミジとツツジで、正に日本庭園のよう。
これは山百合のような芳香を持つツツジです。一つ一つの花の香りは微量ですが、大変大きな株なので、結構しっかり香っていました。
それ以外の植物も少し御紹介します。バッジャーズ・ボウルに生えていたChilean Fire Bushという南米の木。物凄く背が高く、蛍光オレンジ色の花が印象的です。
花のアップ。ちょっとハニーサックルに似ているかな？ 同じくバッジャーズ・ボウルにあるMonkey Puzzleと呼ばれる針葉樹。庭木としても時々見掛けますが、…なんてアグレッシブな木だ。
これでもかっ！と重たそうな程沢山の花を付けたシャクナゲの巨木。迫力でした。何せ一つの花が、大人の手のひらより大きいのです。
桜の花が毎年心待ちなように、私もブルーベルを眺めていて全く飽きません。一般的にイギリスの最高の季節と言うと、やはりバラの時期でしょうが、私はこの季節が一番好きかも。バラは日本でも見ることが出来ますが 、森の中のブルーベルの絨毯は、現地ならではの光景だからです。少なくともこの時期、驚く程大きい木のライラックや、石造りの家の壁に這う藤といった青紫の花も咲き揃い、イギリスの美しさが満喫出来ます。