ID 10847
登録日 2009年 3月12日
タイトル
中島に舞う再会桜
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news/20090312-OYT8T01144.htm
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元urltop:
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写真:
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松山市の中島で、3年前に住民らが、島内の学校や公園など13か所に植えた約400本の桜がつぼみをほころばせ始めている。島外の人に中島の良さをアピールしようと、島で生まれ育った山崎八生(やよい)
さん(47)らが植え、花の季節に島を出た人々が帰ってきてくれるようにと「瀬戸内の再会桜」と名付けた。住民たちは、旧中島町の他の島々にも桜を広めようと、来月、NPO法人を設立する。(浅野友美)
きっかけは、中島町が松山市などと2005年に合併した直後、市が募集したまちづくり提言だった。山崎さんは、旧中島町の人口がピーク時の4分の1あまりに減っていることに触れ、「花を見るために島に人が来てくれ
れば」と、桜を植えることを提案した。
市の施策には採用されなかったが、山崎さんは住民の力で植樹を実現しようと呼びかけた。「10年以上前に亡くなった父が、死の前日、八重桜の枝を渡してくれた。桜を植えることは、父の遺言だったように感じた」と
振り返る。
山崎さんは桜の普及に取り組んでいる「日本さくらの会」(東京)に苗木の提供を申請。会の定める植樹場所の確保や資金集めのために、学校や神社などの関係者に頭を下げて回った。「ミカンと違い、桜では金になら
ん」といった声にも負けず、耳の病気で3度の手術を受けた時も、病床に桜の資料を持ち込んだ。
1年以上の準備の末、同会から苗木300本が無償提供されることになり、島内外からの計約80万円の募金で100本を買い足すことにした。
06年11月、住民や県外から駆けつけた賛同者ら約400人が集まり、開花時期の異なる9種類の苗木を島内各地に植えた。当時、中島中学の校長として協力した河野健二さん(57)は「言葉に表せない達成感で、島の
雰囲気が一気に明るくなった」と振り返る。
植樹から3度目の春となった今月、受験や卒業に臨む子どもたちを花で元気づけようと学校近くに植えられた早咲きの桜が、美しい桃色の花を咲かせ始めた。
山崎さんら11人は、来月末にもNPO法人を作り、中島だけでなく、二神島や怒和島での植樹も目指す。
「もっと多くの桜を咲かせ、島民や島を訪れる人々を明るい気持ちにしたい。それが、手伝ってくれた多くの人への恩返しになると思うのです」。山崎さんは目を輝かせた。
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