ID 10695
登録日 2009年 2月25日
タイトル
巨樹たちの姿、後世に 画家・平岡さん描き続け、2540枚
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090226ddlk13040324000c.html
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元urltop:
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写真:
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◇新作中心に開催--倒壊も多く「遺影のつもり」
立川市の国営昭和記念公園・花みどり文化センターで、巨樹を題材にした絵で知られる画家、平岡忠夫さん(80)=奥多摩町在住=の絵画展が開かれている。平岡さんが描きためた2540枚の巨樹の絵の中には、台
風などで倒壊したものも多いという。平岡さんは環境破壊に警鐘を鳴らしながら「遺影のつもりで描いている」と話している。【川崎桂吾】
巨樹の発掘や保存活動に取り組む「巨樹の会」を主宰し、全国巨樹・巨木林の会副会長も務める平岡さんは、16歳から油絵を始めた。都職員の傍らで風景画を手がけてきたが、30年ほど前に山梨県の精進湖で大スギ
に出合い、巨樹の魅力を知った。「日本の風景から自然が消えていく中で、巨樹にだけは『自然の気配』が残っていた」。以来、巨樹を求めて日本中の森を巡り歩く日々が始まった。
和紙に墨で素描し彩色を施す独特のスタイル。下書きはせず、現場で一気に描き上げる。「現場で描かなければ絵が死んでしまう。お手本をなぞると字が駄目になるのと一緒。書道みたないものです」と説明する。
題材にした巨樹が「倒壊した」との報に接するたび、胸が締め付けられる。台風や土砂崩れ、病害虫。原因はさまざまだが、平岡さんは人間の手による環境破壊が遠因だと考えている。「私は木の代弁者。せめてもの慰
めに巨樹たちの姿を後世に残したい」。80歳の声を聞き、山歩きの途中で転倒し大けがを負ったこともある。しかし目標の3000枚を描くまで筆を置くわけにはいかない。
文化センターで開催中の「平岡忠夫巨樹絵画展・イチョウにみる樹の文化」には、昨年の秋から冬にかけて描いた新作を中心に展示している。3月15日まで。1日午後1時半からは講演会も予定されている(先着100
人、当日受け付け)。平岡さんは「明治時代以降、木をモノと見るようになったが、日本には奈良時代の昔から木を守る文化があった。それを知ってもらいたい」と話している。
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