1. HOME
  2. 木の情報発信基地Top
  3. 8.樹木
  4. 樹木・植樹・木のニュースアーカイブ TOP
ID 9871
登録日 2008年 12月15日
タイトル
タイトル
女性農民の声、世界に響く 変わりゆくアフリカ最前線
.
新聞名
新聞名 朝日新聞
.
元URL.
http://www.asahi.com/international/africa/mosaic/TKY200812150023.html
.
元urltop:
.
写真:
  写真が掲載されていました hhh
.
 ジョイスさんは、ずらりと並ぶテレビやスチールのカメラに戸惑いながらも、しっかりとした声で、どのようにして彼女たちが農業生産を向上させ、生活を改善したのかを、持参した映像と種を披露しながら説明した。私 は、この記者会見の司会をしていたため、記者席が丸見えで、よく観察することができたのだが、そこで見たものは、ジョイスさんが語る一言一言を聞きもらすまいとするメディア関係者の真検な姿だった。この記者会見 後、ジョイスさんへの単独インタビューの申し込みが朝から晩までひっきりなしに続き、日本のすべての全国紙とすべての地元紙に留まらず、中国・ロシア・アメリカ・フランス・英国・ドイツ・オランダ各国のテレビ・ラジオ ・新聞から取材申し込みがあり、そのほぼ全部の番組や紙面で彼女の話を取り上げてもらうことができた。さすがに疲れ果てたジョイスさん、最終日には早々と宿舎に帰ってしまった。福田総理(当時)の最終記者会見を モニターで眺めながら後片付けをしていると、市民社会の詰め所にひっこり現われたのが、オランダの新聞記者の女性であった。とりわけ熱心にジョイスさんの話を聞いていた人だった。ジョイスさんがもう帰ったこと を伝えると、その記者は落胆して次のように言った。  「日本に来てジョイスさんに会うまでは、ただ偉い人たちの会議の様子をタイムリーに流していればいいと考えていた。でも、それではいけないのだと、ジョイスさんに会って目覚めた。世界の問題をあたかもすべて 知っているかの如く語る富裕国政府首脳の声を、当事者の声を知ることなく、批判なしにそのまま垂れ流してはいけないことに気づかせてくれた。なぜなら、彼女に今すぐ必要なものはと訊ねたら、『牛(300ドル)』という 答えが返ってきたから。1頭はすでに確保したから、せめてもう1頭確保できれば、耕す面積を大幅に広げることができる、そうすれば余剰を売ってまた牛を増やせる、という話だった。首脳たちが描いた『アフリカ食料危 機の処方箋』が、いかに現場からかけ離れた数字遊びにすぎないのか痛感した。我々は現場の当事者の現状と声を本当に知っているのか、そう危機感を持ったのだ。ジョイスさんからは、サミット報道のあるべき姿、い やしてはならないサミット報道のあり方を深く学んだ。」  そう言って、オランダの新聞の一面を見せてくれた。その一面には、サミットに集った各国首脳の写真が大きく紹介されていたが、そのすぐ下の記事の冒頭に、ジョイスさんの声が大きく紹介されていた。女性記者は、何 度も何度もジョイスさんによろしくと言って、名残惜しそうにその場を後にした。その様子に、私も心打たれるものを感じた。  しかし残念ながら、洞爺湖サミットについては時すでに遅しで、急遽議題に取り上げられた食料問題、それに派生して議論されたアフリカへの農業支援政策などに影響を及ぼすことは不可能であった。現場の声に耳を 傾け、現場の努力を知り、現場の人びとの努力のサポートをする。国際協力の基本としてずい分昔から言われてきたことではあるが、実際には実行に移されないまま、外から上から持ち込まれるプロジェクトが失敗して は、コミュニティは見捨てられる、ということが繰り返されてきた。にもかかわらず、洞爺湖サミットでは、化学肥料を大量に供与し、バイオテクノロジー(言葉は曖昧にしてあるが、遺伝子組み換え技術)を導入すれば食料 問題は一気に解決するという「バラ色の処方箋」が描かれてしまった。外からの一時的な大量の物資供与、そして新しい技術の上からの導入…過去に何度も失敗したこのモデルが、なぜ今になってアフリカで成功すると いう結論になるのだろうか。  あまりの乱暴な議論と結論に、アフリカの市民社会は怒りを露わにし、そして絶望した。あたかも、アフリカの農民が空のお椀を持ってただ施しを待っていて、それを外からのモノで満たせば問題は解決するという前提が 見え隠れする。しかし、ジョイスさんの経験は、人びとの中に生まれるやる気や努力に寄り添うことの重要性を示唆している。People- driven(人びと主導)のやり方は、現場だけでなく、ハイレベルな政策協議場でも徹底されなければいけないのである。  このように、日本と世界に、アフリカ農民の努力と抱える課題を発信し続けたジョイスさんだが、肝心のご当人は、宿舎の温泉に朝夜浸かり(朝6時に既に湯船に浸かっていたという目撃談も)、お肌も艶々として日々若 返り、このまま北海道にお嫁に来たい(夫がいなければ、という注釈つきで)というほど北海道に心底ほれ込んでいた。こちらは、彼女の柔軟性に心底感銘を受けた。ますます、ザンビアに行く理由ができてしまった。++/d iv++ ..
<