ID 8475
登録日 2008年 8月 8日
タイトル
地球温暖化でアメリカの森林が草原になる?
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新聞名
ナショナルジオグラフィック
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元URL.
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=78938198
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元urltop:
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アメリカでは気候変動の影響で、現在は森林で覆われている場所に草原が広がる可能性があるという新研究が発表された。
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地球温暖化のせいで今よりも極端な気候になると、複数の生態系の境界であるエコトーン(移行帯)が全体的に移動する可能性があるという。この研究では特に、平原(プレーリー)から東部の森林への移行帯であるア
メリカ中部のエコトーンに焦点を当てている。
ウィスコンシン大学気候研究センターのマイケル・ナターロ氏は、「気候変動の影響で天気が変わりやすくなることはご存知だろう。気候が年々変わりやすくなると、植物が減って火事が増える可能性が高い。その結果、
さまざまな生態系の境界が移動する」と話す。
不安定な気候はある種の樹木にとっては致命的となるが、草のような寿命の短い植物にとっては有利に働く。雨の多い期間が長く続いた後で日照りが続くと、植物が燃えやすくなり、野火や山火事の規模は拡大し頻度も
高まる。火事や干ばつに気温の極端な変動が加わる環境は、特定の種類の樹木や草にとっては都合が良い。
「常緑樹は変動の激しい気候には合わない傾向がある。常緑樹が枯れた場合、草や落葉樹に比べて再生に長い時間がかかることが理由の1つだ」とナターロ氏は言う。落葉樹は葉を落とすことで必要な水分を制限して
いる。これに対し常緑樹は葉を一年中維持する必要があるため、特に冬の数カ月間は水分の損失の影響を受けやすい。森の樹木よりも草が広がりやすい状態になったところで、長い間不安定な気候パターンが続くと、植
物で覆われる範囲が地球全体で減少する可能性があるという。
アメリカ中部のあるエコトーン(移行帯)の植生は、西側で草原から平原(プレーリー)へ移行し、東側で草原から森林へと移行している。この境界が現在の形で存在している主な理由は、西部の気候がより極端で、年間
を通じて温暖と寒冷、湿気と乾燥の間を変動しているためだ。
ナターロ氏は「もし気候の変動がなければ、アメリカ東部の森林全体が中部に移動しているだろう」と話す。数十年のうちに地球温暖化によって天候が極端になれば、反対のことが起きる。草が東側に移動して森の樹木
の生息地を脅かすのだ。草は干ばつのときには休眠し火事の後に成長するが、森の樹木は乏しい資源競走に対応できず、火事で破壊されてしまう。
同氏は今回の研究で、動的な地球規模の植生モデルと20世紀の気候データを活用した。平均的な気候データによるモデル結果と、年ごとに変動する気候データでの実験結果とを比較することで、気候変動が地球規模
の植生パターンに与える影響を解明できた。この結果は8月5日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催中のアメリカ生態学協会の総会で発表された。
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