ID 724
登録日 2006年 4月 7日
タイトル
ログハウスの森の図書館 僕らの拠点 佐賀の私設「すぎの子文庫」 紙芝居や読み聞かせ
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新聞名
西日本新聞
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元URL.
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/20060406/20060406_006.shtml
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元urltop:
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写真:
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「子どもたちが、伸び伸び遊べる森の中で、本に親しめる場所をつくりたい」。そんな思いから、1人の男性が佐賀県神埼市鶴の自宅近くに建てた私設図書館「すぎの子文庫」が、10周年を迎えた。運営は母
親たちがボランティアで担当。読み聞かせなど地道な活動をしながら見守ってきた。子どもたちからは「ずっと続けて」との声が寄せられ、地域の貴重な「子どもの居場所」として定着している。
文庫は、近くの牟田昭一郎さん(74)が1996年3月に開設。幼いころ、経済的な理由から本を読む機会が少なかったという牟田さん。「次世代の子どもたちには、たくさん本を読んでほしい」と、約40年前に図書館づくり
を思い立った。
93年、家業の造園業を長男に任せ、コツコツためた小遣いを資金に、桜やモミジなど約30種類の木を植樹。自ら杉の木を使って、自宅の畑にログハウスの図書館を完成させた。
現在、牟田さんは館長。運営は母親10人がボランティアで担当し、読み聞かせや紙芝居、お祭りなどを手掛けている。中には、家庭が複雑で周囲になじめなかった子が、文庫に通ううちに心を開き、うそをつかなくなっ
た例もあるという。
ボランティアの1人、手塚うた子さん(43)は「そんなとき、ここが子どもにとって貴重な居場所になっていると感じます」と語る。10周年の記念誌「夢のたね」には、中学生になった子から「いるだけで心が落ち着きます
」「木登りや鬼ごっこもできて大好きです」など、文庫への愛着を込めた言葉が贈られている。
牟田さんは「私たちの活動は、種まき。10年先、20年先、いつどんなふうに子どもたちの心に何が芽生えるか分からないが、焦らずゆっくりと居場所を与え続けたい」と話している。
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