ID 707
登録日 2006年 4月 5日
タイトル
「醍醐の花見」 しだれ桜ルーツ探る 岐阜大教授ら遺伝子解析
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新聞名
京都新聞
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元URL.
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200604040065.html
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元urltop:
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写真:
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安土桃山時代、豊臣秀吉が催した「醍醐の花見」の舞台となった醍醐寺(京都市伏見区)で、当時の歴史をたどるしだれ桜の遺伝子解析が進められている。同寺の80代座主・義演は1598(慶長3)年の日記
に、秀吉が「醍醐の花見」のために、畿内4カ国から桜700本を集めたと記しており、広域的な解析により、日記の記述を、遺伝学的に裏付けることができると注目される。
岐阜大の向井譲教授(遺伝学)と住友林業筑波研究所(茨城県)の中村健太郎主任研究員が共同研究している。同研究所は2000年に、「醍醐の花見」で秀吉や徳川家康、前田利家らがめでたしだれ桜の子孫とされ、戦
後に日本画家奥村土牛(とぎゅう)が描いた「土牛の桜」(同寺三宝院)のクローンを作った。
今回は、桜が属するバラ科の植物が自らの木の花粉と交配しない特徴などを生かし、桜の「血縁関係」を調べている。
これまでに、境内のしだれ桜約100本のうち、樹齢100年以上の古木11本の遺伝子を解析した。「土牛の桜」(推定樹齢150年)と傍らにある木(同100年)は父母のどちらかが同じ。また、霊宝館周辺と清瀧宮にある
3本は父母のどちらかが同じであることが分かった。残る6本は血縁関係がなかった。
このことから、境内では、いろいろな場所から集められたしだれ桜を使って、枝を台木に接ぐ接ぎ木や、種子から子孫が育てられて現在に至った可能性が高いという。
中村主任研究員は「150年前、接ぎ木の技術は発達していたのに、同じ親木でなく、多様な親木から子孫を育てたのは意外。境内には桜の苗場跡もあり、同寺が多様な桜の伝承に力を注いでいた証拠」としている。
今後は境内の他のしだれ桜を調査するほか、秀吉ゆかりの全国の桜の調査も視野に入れており、400年以上前に醍醐寺に持ち込まれた桜の古里が分かる可能性があるという。
同寺にはしだれ桜や山桜、ソメイヨシノなど約1000本の桜の木がある。
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