ID 7841
登録日 2008年 5月30日
タイトル
温暖化分岐点:今こそMOTTAINAIへ/4 私有人工林、放置が3割
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/tochigi/news/20080530ddlk09040112000c.html
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元urltop:
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写真:
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二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの吸収源として、森林の重要性が増している。県は08年度から間伐による森林整備などを目的とした「とちぎの元気な森づくり県民税」を導入した。整備対象予定地の
スギ林を歩いてみた。
鹿沼市の中心地から北西に車で約30分、荒井川沿いにスギやヒノキの人工林が広がる。手入れがしやすい道沿いは日差しが十分入り、下草が1メートル程度に伸びている。適度に間伐されている証拠だという。樹木医
でもある県森林整備課の上野満・課長補佐は「大雨が降っても下草が根を張っていれば表土の流出は抑えられ、森は守られる」と、間伐や下草の重要性を強調する。
林に分け入る。足場の悪い急傾斜地を登ると、森づくり県民税事業の対象予定地(鹿沼市上久我)の林に着いた。間伐がされていないため、やせ細ったスギが密集状態で生えている。日が十分差さないため、下草は育
たず、丈が短い。別の場所では岩石や木の根がむき出しで、表土の流出ぶりがうかがえた。
このように手入れされず、放置された林は、県内の私有人工林の実に3割以上を占めている。温暖化の進行阻止に役立つはずの森林は、荒廃の一途をたどっているのが実態だ。
県内の森林面積は、07年3月末で約35万ヘクタールあり、内訳は天然林が約18万ヘクタール、スギやヒノキなどの人工林は約16万ヘクタール。私有の人工林は約12万ヘクタールあり、そのうちの約4万ヘクタールは
、過去15年以上手入れがされておらず、災害防止などの観点から県が緊急に整備が必要と考えている。森づくり県民税の税収を財源とする間伐、森林整備は、このエリアで10年かけて行われる。
なぜ間伐が行われず放置されたままなのか。鹿沼市上久我の人工林所有者の会社員、湯沢一彦さん(52)=鹿沼市下久我=は「父のころは林業で生計の大半をまかなっていたが、今はとても採算が合わず、間伐をやり
たくてもできない」と林業経営の難しさを語る。
県内の林業生産額は、約178億円(90年)から、05年度は約109億円まで減少。森林組合所属の林業従事者も、ピーク時の540人(96年3月末)から、363人(07年3月末)に減り、林業は衰退傾向にある。
県民税の導入で、間伐の作業量は単純計算でも年間4000ヘクタール増えることから、県は森林組合などに限定していた森林整備業務の入札制度を改め、7月から建設業や造園業などの他業種からの参入を認めるこ
とにした。
事業の目的の1つがCO2吸収源の増加だ。林野庁によると、適切な手入れをされた樹齢80年のスギの人工林は1ヘクタール当たり、年間2・1トンのCO2を吸収する。宇都宮大の笠原義人名誉教授(森林政策学)は「
木は成長が不十分だとCO2の吸収力は落ちる」と、適切な間伐の必要性を指摘する。
笠原名誉教授はまた、林業経営の観点から森林の循環システムを再構築する必要性を訴える。「森林は間伐するだけではなく、所有者が伐採して収入を得て、再植林する循環システムを作らないと持続的とはいえな
い。県がやってくれるからと、手入れをしなくなっては意味がない」。今後の課題を笠原名誉教授はそう指摘する。(つづく)
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■ことば
◇とちぎの元気な森づくり県民税
県が今年4月、県内の個人、法人を対象に導入。個人の場合、県民税に上乗せする形で、1人年額700円(未成年者や低所得者など除く)を課税する。課税期間は10年間。年間の税収(平年ベース)は約8億円と見込ま
れ、人工林の間伐に4億5000万円、里山林の整備に2億円、森林環境教育など普及啓発に1億5000万円の支出を見込む。
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