ID 660
登録日 2006年 3月29日
タイトル
最大級の木簡、奈良時代の「履歴書」 徳島・観音寺遺跡
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新聞名
朝日新聞
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元URL.
http://www.asahi.com/culture/update/0330/001.html
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元urltop:
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写真:
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奈良時代、朝廷の地方行政機関「阿波国府」があったとされる徳島市国府町の観音寺遺跡で、朝廷が官人登用に際して国府との間で行った身元照会の手続き「勘籍(かんじゃく)」が記された8世紀の木簡が初
めて出土した。徳島県埋蔵文化財センターが29日、発表した。木簡は長さ58センチ、幅5センチで国内最大級。記された文字数約150字も異例の数だ。朝廷への回答の下書きとみられ、専門家は「律令国家による地方
支配の詳細を解明するうえで貴重な史料となる」としている。
見つかった木簡は、厚さ4.9~0.8ミリのヒノキの木片。8世紀後半の河川跡の砂層から出土した。文字は墨書きで、表面と裏面にそれぞれ七十数文字ずつ。読み取れない部分があるが、計約140字は解明できるとい
う。
木簡の裏面に、「阿波国司が勘籍した(戸籍を調べた)結果を解す(上申します)。秦人部大宅は26歳で――」という意味の文言があり、この人物の年齢や出身地、戸主などが記してある。
内容から、阿波出身者を官人に登用する際、中央政府の民部省が阿波国司に身元調査させたことがうかがえる。何度も削ったり、棒線を引いて文字を修正したりした跡もあった。
木簡に書かれた勘籍の結果は紙に書き写したうえで朝廷に送られ、官人の情報が一元的に管理されていた。現在、東大寺・正倉院(奈良県)にはこの勘籍の一部、約10人分の記録が残っている。
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