ID 7208
登録日 2008年 4月17日
タイトル
地方点描:森をつくる
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新聞名
秋田魁新報
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元URL.
http://www.sakigake.jp/p/column/chihou.jsp?kc=20080416ay
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元urltop:
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写真:
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明治以降の鉱山・製錬事業で地域の森林が荒廃した小坂町。産業が深刻な森林破壊を招いた地域の一つでもある。その荒廃した森林をよみがえらせようと、同町で昨年10月行われたDOWAホールディン
グス、小坂製錬主催の「ふるさとの森づくり植樹祭」。麦わら帽子をかぶった男性が手際よく苗木を植えていた。横浜国立大名誉教授・宮脇昭さん(80)だ。町民らと一緒にミズナラ、コナラ、ブナなど広葉樹の苗木5000
本を植樹。約20種類の苗木を1平方メートル当たり3本程度植える混植・密植といわれる独自の植樹法を指導した。
宮脇さんは30年以上にわたり、国内外の1500カ所で計3000万本の植樹指導実績を持つ植物植生学の第一人者。日本全国を歩き植生調査を重ね、生態学的にみて、その土地本来の自然林に近い種を組み合わせて
植樹してきた。こうしてできた森が「本物の森」であり、多少の災害ではびくともしないと宮脇さんはいう。
混植・密植で植えた苗木は、自然の競争原理が働き短期間で成長、10年後には8メートルほどの木になる。先月中旬、同町の芝居小屋・康楽館で開かれたシンポジウムにパネリストとして参加した宮脇さんは、この植
樹法を説明し「大きな木を植える必要はない。できるだけ多くの種類を植える。生物社会は多少嫌なやつがいても我慢して共生する」と語った。木を植えてから半年。50センチほどの苗木は越冬し、その細い幹を大地
にしっかり根付かせた。
荒地に木を植えていく宮脇さんの姿は、枯木に花を咲かせる昔話「花咲かじいさん」をどこか思わせる。
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