ID 6929
登録日 2008年 3月30日
タイトル
桜の人生訓「散るまで美しく」 樹齢数百年古木追う
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news/20080329-OYT8T00673.htm
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元urltop:
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写真:
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今年も桜の季節がやってきた。お花見の代名詞ソメイヨシノとはまた別の魅力を持った桜がある。単独で咲くことの多い樹齢数百年の古木だ。静岡市清水区蒲原の望月芳雄さん(79)はそんな桜に魅了され、2
0年かけて300本を超える古木の写真を撮ってきた。「歴史に裏打ちされたロマンがある」と今年も全国を巡る。
望月さんの自宅2階にある「さくらギャラリー」には、撮りためた写真が並ぶ。樹齢1000年とも言われる「醍醐桜」(岡山県真庭市)、「三春滝桜」(福島県三春町)、お気に入りの仏隆寺・モチヅキザクラ(奈良県宇陀市)―
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「1本1本に歴史や神話がある。夢物語のようで『本当にそうなのかな』と調べていくうちに、のめり込んでしまってさ」
望月さんが桜の古木の撮影を始めたのは還暦を迎えてから。没頭できる趣味を持とうと、家業の米販売の合間にカメラを持って全国の桜の古木を巡り始めた。
当時は桜の開花時期を知るすべがなく、見ごろを外して訪れるという失敗の連続だった。
7年目に奈良の寺を訪ねた時だった。開花していない古木を前に落胆する望月さんに、住職の奥さんが「見ごろが来たら連絡しますよ」と声を掛けてくれた。
1週間後、「もうすぐよ」という知らせがあり、駆け付けると満開の桜が待っていた。「桜の木にも人にも礼を尽くそう」と決めた。
撮影前には、古木があるお寺へのお参りを欠かさない。今では、撮影旅行で知り合った20人以上の友人が見ごろの前に連絡をくれる。「古木たちが私と人を結びつけてくれた」と感じる。
以前は風雨に根っこが割れたり、枯れかけたりしている古木を「かわいそう」と思っていた。今では、岩の塊のような太い幹から出る枝に美しい花を咲かせる姿に、「お前も最後まで美しく咲き誇って生きてみろよ」と話し
かけられているように感じるという。
今年は8県を巡る予定。目標は古木10本。同行する妻すみ江さん(74)は「桜の季節になると元気になるんですよ」と話す。望月さんは「『桜病』という不治の病にかかってしまったんだな」と照れ笑いした。
4月1日まで、望月さんの作品20点を集めた「日本名桜写 4月1日まで、望月さんの作品20点を集めた「日本名桜写真展」が静岡市葵区御幸町の松坂屋静岡店で開かれている。
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