ID 6928
登録日 2008年 3月30日
タイトル
例年になくスギ花粉の飛ぶ量が多いといい
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新聞名
MSN産経ニュース
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元URL.
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080330/trd0803300306000-n1.htm
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
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「とうとう、かかってしまいましてね」。あいさつ代わりにそんな言葉を聞くことが増えた。花粉症である。今年は例年になくスギ花粉の飛ぶ量が多いといい「初体験」した人も少なくない。マスクをつけて花見と
いう風景も見られそうだ。
▼今や花粉、中でもスギのそれは世の「憎まれっ子」である。石川県などでは花粉を持たないスギを開発しているほどだ。実際に花を持つのは樹齢25年ごろからだそうで、ちょっと待ちきれないような先の話だが、そ
れほど深刻な社会問題になっているということだろう。
▼だが憎まれっ子といえども、植物にとって子孫を残すために欠かせないものである。しかも思わぬ形で人の研究にも役立っている。河合雅雄氏編『ふしぎの博物誌』にある半田久美子さんのエッセーで知ったのだが、
花粉の化石から森林の変遷や環境変動がわかるのだという。
▼花粉は通常1ミリの10分の1以下の大きさしかない。しかし顕微鏡で見ると植物の種類によって異なる「顔」を持っている。キク科は金平糖のようでユリ科はラグビーボール状だ。問題のスギ科の花粉はシンプルな球
形の本体から指状の突起が突き出ているのだそうだ。
▼そんな花粉たちは主に風に乗って雌しべを目指すが、ほとんどは途中で落下し姿を消す。だが運良く湿原のような所に落ちると、化石となり何万年も何億年も後まで残る。それを見つけ出し顕微鏡でのぞくと、その「
顔」から何の花粉かがわかる。
▼さらに化石の年代を調べ、風向や周囲の地形を考えるとその地域の時代ごとの植生が浮かび上がってくる。それを広げていけば地球環境の移り変わりもわかるのだ。しばし花粉症の苦しさを忘れ、自然の営みに敬意
を払いたくなるような話である。
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