ID 6554
登録日 2008年 3月 1日
タイトル
内憂外患」でがけっぷち 富山の製材業者
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新聞名
富山新聞
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元URL.
http://www.hokkoku.co.jp/_keizai/K20080301301.htm
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元urltop:
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写真:
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全国一の北洋材輸入県である富山の製材業者が、“内憂外患”でがけっぷちに立たされている。ロシアの関税引き上げで仕入価格は上昇しているが、国内では改正建築基準法の影響で住宅着工数が落ち込
み、製材を買い叩(たた)かれている。今年だけで大型破たんが早くも二件発生し、多くの業者が息切れ寸前で、材木加工への特化や北米材への切り替えで生き残りをかける動きが出てきた。
富山県木材管理センターによると、伏木富山港には例年、国内輸入量の約二割に相当する百万立方メートル超の北洋材原木が陸揚げされていた。富山県には、この原木を角材などに製材する業者二百二十二社が集
まっており、全国の住宅メーカーへ製材を供給する一大拠点となっている。
ところが、ここにきて経営環境が悪化し、事業の継続を断念する製材業者が目立つ。
東京商工リサーチによると、二月七日には富山県内第五位の規模だった下澤産業(朝日町)が二十五億円の負債を抱えて破産手続きを申請。二十八日には、南洋材を主力とする舟瀬製材所(富山市)も負債総額四億五
千万円で破産手続きを始めた。
福井県でも、二月下旬には神谷製材所(勝山市)も事業を停止し、全国的に「製材不況」の嵐が吹いている。
その原因の一つが、北洋材原木の輸入価格の上昇だ。
林野庁のまとめでは、ロシア産エゾマツ原木の輸入相場は、昨年七月中旬に、一立方メートル当たり一万九千八百円。〇六年七月末の一万五千百円に比べ、五千円近く上がった。
昨年七月にロシア政府が原木への関税を6・5%から一気に20%に引き上げたためで、中国の需要が伸び続けていることも高止まりの要因となっている。
原木の輸入相場は現在も一万七千円超と高い水準で推移。荷役料などを含めた引き渡し価格は二万一千―二千円台となっており、「国内需要と値動きがかけ離れた」(富山市内の製材業者)状態が続いている。
しかし、多くの製材業者は、原木の高騰を販売価格に転嫁できずにいる。改正建築基準法の影響で、国内の住宅着工件数が減り、木材需要が低迷しているためだ。
〇七年の全国の新設住宅着工戸数は約百七万戸で、前年を約18%下回った。だが、「前年並みの実績を見込んだ業者が、昨年上半期に大量の原木を発注した」(射水市内の業者)ことで流通在庫がだぶつき、価格競
争が厳しくなっているという。
業界は「原木高騰と売価低迷のダブルパンチ」(同)に見舞われているのが実情だ。
製材業者も手をこまぬいてはいない。
田島木材(富山市)など、富山県内の地場大手は商社と提携し、ロシアでの製材加工事業の強化に乗り出した。北洋材原木の一部を、四割ほど安い県産スギに切り替える動きもある。ウッドリンク(射水市)は、グループ
の住宅メーカー「アルスホーム」(富山市)の営業活動の中で自社製材の使用を増やそうとしている。
大手製材メーカー幹部は「富山の製材業は、北米材や国産材に切り替えるか、ロシアで一次加工された製材の二次加工に特化するかの選択を迫られるだろう」とみる。ただ、地場の業者からは「ロシアや中国に進出しよ
うにも先立つものがない」との声も出ており、県産材については供給量不足も指摘されている。
さらに、ロシア政府は針葉樹原木への関税を来年一月に80%にまで引き上げる方針で、内外の価格ギャップが一段と拡大し、製材業者の淘汰が加速する可能性もある。
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