ID 4724
登録日 2007年 9月14日
タイトル
ナラ枯れ」被害深刻
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新聞名
中日新聞
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元URL.
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20070916/CK2007091602049147.html
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元urltop:
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写真:
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コナラなどの広葉樹が立ち枯れる「ナラ枯れ」の被害が、老人ホームや幼稚園などがある長久手町長湫根嶽の「ゴジカラ村」の雑木林で深刻化している。枯死は、体長約5ミリの甲虫カシノナガキクイムシ(カ
シナガ)が媒介する病原菌のナラ菌が原因。同施設は倒木の危険を防ぐために枯れ木を伐採するなど対策に乗りだしたが、「この勢いで広がれば雑木林が全滅してしまう」と脅威を感じている。
敷地内の駐車場から雑木林を見渡すと、紅葉の季節でもないのに赤茶けた葉をつけた木が二本、三本。「あれが被害にあった木です」と同施設職員の田中美貴さんが説明する。枯れ木の表面にはカシナガが侵入した
穴が無数にあり、吐き出した木くずが根もとに積もっている。
ナラの枯死が初めて見つかったのは、昨秋。昨年は数本程度だったが、今年に入って被害が一気に拡大、十本単位で枯れはじめた。
敷地約四・七ヘクタールのほとんどをナラ類の雑木林が占める施設は事態を重視。今春に業者などに調査を依頼してカシナガの被害を確認し、薬剤塗布などの防除策を講じた。
雑木林を生かした環境づくりをしている同施設では、幼稚園や老人ホームなど施設のすぐそばに枯れ木が点在。倒木の危険があるため、八月からボランティアを募って枯れ木の伐採を始め、特に危険な位置にあった
約二十本を伐採、運び出した。田中さんは「仕方ないが、ずっと守ってきた森をこういう形で伐採しなければならないのは悲しい」と残念がる。
県森林保全課によると、県内でのナラ枯れは昨年初めて、名古屋市名東区の猪高緑地や明徳公園で確認された。瀬戸市の海上の森や、尾張旭市の県森林公園など県内各地でも被害が報告されているという。
ナラ枯れの調査、研究をしている森林総合研究所関西支部(京都市)によると、カシナガによるナラ枯れ被害は、一九九〇年代から急増。二〇〇五年の実損面積は全国で約二千ヘクタールに上る。
カシナガは樹齢四十年から七十年の老木を好む。六〇年代以降、エネルギー需要が化石燃料などに移ったため、全国の里山でナラ類が伐採されずに放置されてきたことが被害の拡大につながっているという。
同研究所の衣浦晴生主任研究員は「被害が発生したら初期段階で迅速に薬剤注入などの防除策を講じることが重要。ただ現時点で、特効薬と呼べる対策があるわけではない」と指摘する。
ゴジカラ村は、カシナガ被害が確認された猪高緑地に隣接しており、施設だけでの防除策にも限界がある。同施設では「伐採した後の森の再生も大きな課題。とにかく深刻な現状を多くの人に知ってもらいたい」と話し
ている..