ID　3323

登録日　2007年 3月30日

タイトル

桜守」たちの里…福島・三春町

新聞名

読売新聞

元URL.

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/jiman/ji_ji_07032901.htm?from=os2

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写真:

　

　万葉の時代から日本人に親しまれてきた桜。名所・名木は枚挙にいとまが無いが、三春町の「滝桜」は、シダレザクラの中で最大・最古とされ、日本三大桜の一つとして名高い。３月中旬、開花を待つ“桜の町 ”を訪ねた。
最大・最古の滝桜 　ＪＲ三春駅から車で約１５分。山村の斜面に見えてきた巨木は、どっしりと根を張っていた。樹齢は推定１０００年以上。だが、太い枝からは、細いが若々しい枝が伸びる。その生命力には驚かされる。
　高さ１２メートル、根元の回りは１１メートルあり、枝の広がりは東西２５・２メートル、南北１８・５メートルにも及ぶ。満開になると、ピンクの花が流れ落ちる滝のように見えることから、その名が付いたという。
　「古木とは思えないほど勢いが良く、花もきれい。２年前、大雪で上の方の枝が折れましたが、順調に回復しています」。町産業建設課観光グループの平田禎文さん（４０）が誇らし気に説明してくれた。
　これほど立派に育った理由は、「日当たりが良いなどの立地条件に加え、住民の手で大切に守られてきたから」（平田さん）。江戸時代には、この地を治めていた三春藩が「ご用木」と定め、周辺の農民の年貢を免除し、 世話をさせた。
　今では毎年、花見シーズンが近づくと、町シルバー人材センターのお年寄りらが数日かけて近くの土手や駐車場を整備する。草刈りをしていた上石光雄さん（７０）は「子供のころは枝にぶら下がって遊んだもの。この土 地をずっと見守ってきた桜だから、愛着はひとしおです」と笑顔を見せる。
　町内の桜は「滝桜」だけではない。最盛期には、神社や寺、公園などの１万本が次々に花をつける。「高台に登ると、町全体がピンク色に染まって見えます。滝桜に限らず、昔から桜そのものを大切にしてきた証しです」 。枝の刈り込みや傷口の防腐処理など桜の保護活動を続けている、園芸業者ら約４００人で作る「三春さくらの会」の柳沼一男会長（６５）は胸を張る。
苗木引く手あまた 花見シーズンを前に、滝桜の周りの土手の草刈りをするお年寄り（３月１９日）　同会は、接ぎ木などで滝桜の“子孫”を増やしたり、姉妹都市の岩手県一関市や、ハンガリーやポーランドなどに苗木を贈ったりしている。昨 年１２月には、戦国時代に三春城主の娘、愛姫（めごひめ）が伊達政宗の正室となった縁で仙台市にも贈り、「愛姫桜」と名付けられて話題となった。
　「長寿で美しさを兼ね備えた滝桜の子孫だから、引く手あまたです。日本一の滝桜で、日本一の桜の里を目指したい」と柳沼さんは意気込む。
　ちょうど、町歴史民俗資料館で企画展「さくら咲く」が開かれていた。写真愛好家たちが撮った滝桜などの写真パネルや、桜をテーマにした陶芸家の作品が５月２７日まで展示される。今回が初の開催という。
　シーズン中、人口約１万９０００人の町は、全国から訪れる滝桜目当ての３０万人以上の観光客でにぎわう。同館は「観光客に、ほかにも桜の見所があることや、桜を愛してきた住民の気持ちを伝えたい」と狙いを語る。
　今年の開花予想は４月８日から１２日ごろ。町内には、軒先で観光客にお茶を振る舞う家もある。まさに、町全体が「桜守（さくらもり）」。満開の時期にもう一度訪れ、花を愛（め）でながら散策したい。そう強く思った。（梅 沢清次） 　日本三大桜　滝桜、山梨県北杜市の「山高神代桜」、岐阜県本巣市の「根尾谷淡墨桜」を指すとされる。文化庁は「桜として初めて国の天然記念物指定を受けたことや、今でも立派な枝ぶりで見事な花をつけることが全 国の桜ファンに評価され、三大桜と呼ばれるようになったのではないか」という..

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